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一月物語 平野啓一郎 新潮社

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1冊、読み終えるのに、ひどく時間が掛かってしまった。力技でもってなんとか読み伏せることが出来たのだけれども途中で何度も投げ出そうと思ったほどに相性が悪かった。

ノリ的には泉鏡花の『天守物語』と似た感じと言う感じ。幻想文学系になるのだろうか?

どちらかと言うと、幻想系の物語は好きな性質なのだが、たぶん平野啓一郎がこだわって使っているだろう古体字遣いにウンザリしてしまった。

古めかしい言葉遣いだの、敢えて使ってみる旧漢字という手法は好きなはずなのに、なんだか妙に青臭い印象を受けてしまったのだ。

若くしてデビューした作家さんだし「若さゆえ」ってな部分があるのかも知れない。

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一月物語

明治三十年、奈良県十津川村。神経衰弱の気鬱を逃れ、独り山中をさまよう青年詩人・真拆は、老僧に蛇毒から救われ、山寺に逗留する。

俗世から隔絶された奇妙な時空の中で、真拆はいつしか現実と夢界の裂け目に迷い込み、運命の女と出逢った。

それは己の命を賭けることでしか成就しない愛、だが、刹那に失われる運命の愛だった…。古典的風格さえ漂う端麗な筆致で描かれた聖悲劇。

アマゾンより引用

感想

物語の内容は、いわゆる「幻想系恋物語」なのだが、主人公達がどうしてそんなに好きになっちゃったのかがイマイチ理解できなかった。

「だって、好きになったんだもん。しょうがないし」などと恋愛の基本で攻められたら、どうしようもないのだが、理由はないけど惚れてしまった……というならば、もっと派手にしかけて騙して欲しかったように思う。

平野啓一郎がしなければならなかったのは、ムツカシイ漢字を遣うことではなくて、読者をハメるテクニックを磨くことではなかったろうか?

ウンザリしながら読んだのだが、言葉のセンスは良いなぁ……と思った。

名前の付け方が、なかなか素敵なのだ。「真拆・ましき」だの、高子だの、名前を聞いただけで、妄想の翼がバタバタしそうなネーミングセンスは拍手物だと思った。

きっと主人公の名前がイマイチだったら、読み通すことは出来なかっただろう。

とりあえず、平野啓一郎のデビュー作くらいは読んでおくと思うのだけど同じノリだったら次に読む作品もキツイだろうなぁ。

ひさしぶりに読み終えるのが辛いと思った1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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