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野ばら 林真理子 文春文庫

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宝塚の女優さんと、雑誌記者の女2人の恋の話。

歌舞伎役者だの、銀行マンだのが出てきて、お話自体は華やかだったのだけど、読後に残ったのは「林真理子は老いたのだなぁ」という印象だけだった。

林真理子は、もう、この路線を書くには年を取りすぎたのだと思う。ひと昔前の少女漫画を読んだ時のような「時代遅れ感」にクラクラしてしまった。

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野ばら

宝塚の娘役である千花は、歌舞伎界のプリンスと目される梨園の御曹司と、親友でライターの萌は歳の離れた評論家と、それぞれの恋を謳歌している。だが、花の盛りのように美しいヒロイン達の日々は、現実の退屈さや挫折、裏切りによってゆっくりと翳りを帯びていく。甘く苦い青春を描いた傑作恋愛長篇。

アマゾンより引用

感想

携帯メールの使い方や、言葉遣いなんかが微妙にダサいのだ。

ちょうど15年くらい前の感覚なんじゃないかなぁ。小説ってのは、あえて「時代の最先端」である必要はない。

何十年もの時を重ねて読み継がれている作品だってあるのだ。しかしながら「いまの流行」を書こうとして失敗してしまった場合は、やはり「古臭い」「ダサい」としか言いようが無い。

時代に乗り遅れた…って部分を差っ引いても、薄っぺらな内容だったと思う。

負け犬の遠吠え』でおなじみの酒井順子は解説に「二人は不幸を味わった」と書いてあったけれど、私には「ヒロイン達が経験したことは不幸でもなんでもないのでは?」としか思えなかった。

結局のところ価値観の相違なのだろうなぁ。

たぶん林真理子も、酒井順子も社会的ステータスと、いい男(社会的に評価されていると言う意味)との結婚が人生の判断基準なのだろう。

世の中には色々な人がいて、色々な価値観があるので、それはそれで悪くはないが私には関係ない人達だなぁ……と思った。

林真理子の全てが嫌いではないのだけれど、最近の作風は大嫌いと言っても過言ではない。『本を読む女』とか『天鵞絨物語』あたりは、今でも大好きなのだけどなぁ。

たまには、ちょっと堅苦しいくらいの文章を読ませてもらいたい……と思った1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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