もしかしたら、私は梨木香歩の作品と相性が悪いのかも知れないと思った。
『西の魔女が死んだ』を読んだ時は「これは素晴らしい!」と絶賛したが、それ以降の作品は「すごく綺麗だし、ストイックで良い作品なんだけど、なんだかなぁ…」と、どうにも腑に落ちないところがあった。
今回読んだ『f植物園の巣穴』もそうだった。
1冊だけならまだしも、立て続けに同じ感想を持つのだから、これはもう相性が悪いとしか言いようが無いのかも…と。
f植物園の巣穴
月下香の匂ひ漂ふ一夜。歯が痛む植物園の園丁は、誘われるように椋の木の巣穴に落ちた。
前世は犬だった歯科医の家内、ナマズ神主、烏帽子を被った鯉、アイルランドの治水神と出会う。動植物と地理を豊かに描き、命の連なりをえがく会心の異界譚。
アマゾンより引用
感想
綺麗過ぎるくらい綺麗な文章だし、少し古い時代設定とか、精神世界とリンクしたちょいファンタジーな世界感とか、ものすごく好きなはずなのだけど何故か「あぁ、綺麗だなぁ」という以上の感情が湧いてこなかった。
その原因が何なのかは私自身もよく分からないのだけれど、どうも人生観とか生死観とか、そういう大切な何かが私と作者とでは食い違っているような気がする。
この作品では主人公の男性が死んだ息子(生まれることくな流産してしまった子)と語らう場面がある。
このエピソードの流れを読んだ時、咄嗟に「作者は子供を産み育てたことが無い人なのかも知れないなぁ」と思った。(ちょっと気になったので調べてみたところ作者は既婚で御子さんもいるらしい)
上手く説明出来ないのがもどかしいのだけど、ものすごく大切な部分の考え方が私と食い違っているような気がしてならない。
……正直なところ。「梨木香歩って、どうも好きになれないんです」と言うのは、「江國香織って嫌いなんだけど」と告白するくらい勇気がいる。
それくらい梨木香歩は読書好きの人(特に女性!)の間で人気のある作家さんなのだ。だけど、もう無理だ。
私は梨木香歩の書くものが基本的には受付られないようだと。
それにしても私は梨木香歩の何が合わないのだろうなぁ。
ちゃんと言葉で説明出来ないのがもどかしい。「これだ!」と言う部分が思い当たったら、また改めて書いてみたいと思う。