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カルプス・アルピス 嶽本野ばら 小学館

ここ何冊か「ちょっとなぁ」という作品が続いていたので、軽快して買わずに図書館で借りてしまったのだけれど、この本なら買っておけば良かった……と思った。

『世界の終わりという名の雑貨店』『エミリー』の系譜に入るであろう恋愛小説である。私は「こういうの」が読みたかった。こういうのが。

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カルプス・アルピス

優柔不断な僕と、記憶をなくした彼女が織りなす恋愛風景。

夭折の画家・田仲容子と「絵画のように」綴った、清くて切ない恋愛小説。『IKKI』に連載された「カルピス・アルプス」を改題して単行本化。

アマゾンより引用

感想

嶽本野ばらの作品は「ツッコミ」を入れよう思えば、入れられるし「ありえない」設定を平気で使ってしまうけど、何故が気になせないし許せてしまうから不思議だ。

「方法論はともかく、今の日本にこんな恋愛を書ける人がいるか?」というあたりに納得させられてしまうのだと思う。

中山可穂の小説に文句言いながらも、けっこう好きというのと、ちょっと似たノリ。

WEB上でか、この作品の感想を、ちらちら読むと「あとがき」に感動した。とか「あとがき」の方がむしろ良かった。と書いている方が多いようだが、私は本編の方が良かったように思う。

「あとがき」と本編はまったく別物。

本編は小説だが、後書きは作者が個人的に友を偲ぶエッセイだ。私は自分とは係わり合いのない人の劇的な物語よりも、作者が作った『カルプス・アルピス』の世界を評価したい。

この作品では言葉遣いが美しかったのも良かった。

鱗姫』では「お金持ち言葉」が鼻に付いたし、『デウスの棄て児』では、めちゃめちゃな「時代劇言葉」にうんざりしたが、この作品では作者が本来得意とする「語り」が生きていたように思う。

それに洋服ブランドの説明が、ほとんど無かったのも読みやすくて気に入った。

ロリータちゃん達は嬉しいかも知れないけれど、一般の読者が、ブランド云々を読まさせると、それだけで「遠い目」になってしまうのだ。

今まで嶽本野ばらの作品は服が歩いているような印象さえ受けたが、この作品では、ちゃんと人間が歩いていたように思う。

図書館で借りた本だが、ぜひ手元においておきたいと思った。

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白い木蓮の花の下で
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