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一輪 佐伯一麦 新潮文庫

少し前に読んだ『ア・ルース・ボーイ』が好印象だったので佐伯一麦の作品を、もう少し読んでみよう…とて手に取った作品なのだがコテコテの恋愛小説だった。

「こりゃ、まいったな」というほどのコテコテぶりである。だが、それが良い。

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一輪

電気工の青年が修理に訪れたのは昼休みの風俗店だった。手作りのサンドイッチを俯いて食べていたヘルス嬢に青年は一目見て恋をした。以来、青年は客として彼女を指名するようになるのだが…。

アスベストの被害に遭い長くは生きられない電気工と路地裏の風俗店で息を潜めて生きる女。大都会の裏側で蠢く不器用な男女の切なく哀しい恋を紡ぎ出す傑作「一輪」など、中編二編を収録。

アマゾンより引用

感想

純情・可憐な電気工の青年と、風俗嬢の恋物語だった。

真面目な若者と、心ならずも身体を張って生きている女性が恋をするだなんて『マノン・レスコー』ですか? 『椿姫』ですか? 『湯島の白梅』ですか?

こんな黄金パターンを持ってくるとは、なかなか良い度胸だ……などと思いながら私は本のページをすすめてすった。

正直なところ黄金パターンなだけに、目新しい要素は1つもなかった。なにもかもが使い古されたネタという感じ。なのに、結構、良かったんだな。これが。

主人公の青年が、笑っちゃうほどイイ奴なんだな。「今時こんなに純情・一途な青年っているんだろうか?」と思うほどに。メルヘンだった……ある意味においてメルヘンちっくな作品だった。

これは女性の視点で読むゆえに「メルヘン」と思ってしまうだけで男性が読むと「男の純情。男の浪漫」って感じになるのだろうか?

ちなみに、ストーリーの細部は、やたらリアリティが感じられるのだが作者自身、電気工として働いていた経緯があり私小説……ではなさそうだが、どこか自分を重ねて書いているあたりが物語に厚みを持たせているようだった。

良い…とか悪い…とかってなことは置いといて、素晴らしい恋愛小説だと思った。

なんだかんだ言っても「黄金パターン」ってヤツは人の心を捉える力を持っているような気がする。普遍的に愛される……だから「黄金パターン」なのだろう。

時に恋愛小説は、ある程度、小説の中に入っていけないと「お尻が痒くて、たまりません」なんてことになってしまいがちだがコテコテなストーリーの展開だと、有無を言わさずして読者をストーリーに強引に引きずり込む魔力を持っているのだろう。

複雑怪奇な愛の形も楽しいですが、たまには純愛もいいです。

「こんな男に惚れられちゃった日にぁゃ、私だったら……」……などと、うっかり妄想に耽り思わず遠い目をしてしまった作品だった。

ちなみに、この作品は新潮文庫から好評・大絶版中だったりする。

読んだ人の感想をネットで調べてみるとなかなか好評なのに古典的なラブ・ストーリーは今の時代には受け入れられにくい……ってことなんだろうか?

気になる方は、古本屋さんか図書館で探してみてくだされ。

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白い木蓮の花の下で
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