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桃 久世光彦 新潮社

題名を一瞥してエッセイ集かと思ったのだが「桃」を題材にした短編を多目にあつめた短編集だった。

なぜかしら「桃」という単語を読むと、いやらしい想像をしてしまうのは人としての性なのか、刷り込みなのかは微妙に疑問なところである。

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父の通夜にきた女の、喪服からのぞいた襦袢の襟の色(「桃色」)。

女が出て行ったあと、卓袱台のうえに残された腐りかけた桃の匂い(「桃―お葉の匂い」)。

濃密で甘く官能的な果実をモチーフに、紡ぎ出される八つの短篇。

アマゾンより引用

感想

時代的には、やや古風な……作者が得意とするタイプの作品が多くて大正から昭和初期における「光と闇」が妖しく交錯する時代というか「科学と想像」が心地良く交わっていた時代を背景にしたものが多くて、ちょっぴりノスタルジックな印象をうける短編集であった。

表題になっている「桃」は、女性の尻をイメージするゆえに性的な印象を持ってしまうのだと思う。

この短編も、なにげな~く「いやらしいテイスト」が咽返るような1冊だった。

実際に読んでみると、しっかりした格調の高い文章なのだが上質な香を焚いた時ほのかに立ち上る香りのようにページから、いやらしさが立ち上ってくるような印象を受けた。

『尼港の桃』という作品の中で主人公の父親が死の間際に「陛下、陛下」と言い残す場面は直接的なエロスではなく、精神的な「なにか」を匂わせるものがあった。

ちなみに「陛下、陛下」と言う言葉は、久世光彦の小説『陛下』で使われている。

頬を撫でる風のように、重苦しくなく自然な形でもって、エロスを感じさせてくれたあたりが、心地良かった。

読み応えのある短編集だとは思ったが、ややインパクトに欠ける部分があるの。

通勤電車などで読むよりも、むしろ、けだるい日曜日の午後などに、ダラリとした気分でページを繰るのが良いだろうと思われる1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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