体育会系女子の娘は大抵の運動が好きだけどドッジボールだけは大嫌いらしい。
そう言え私も子どもの頃ドッジボールが大嫌いだった。しかしそれは「私がドン臭いからドッジボールが苦手なんだ」と思っていた。
なので体育が得意な娘が「ドッジボールなんて大嫌い」と言うのはちょっと不思議な気がするけれど、娘の友達の女子達に話を聞いてみても「ドッジボール大好き!」と答えた子はほとんどいなかった。
どうやらアンチドッジボールの女子達は「ボールを相手にぶつける」と言う競技の本質が嫌みたいだ。
思えば……格闘技でもないのに、相手に身体的ダメージを与える攻撃をするスポーツはドッジボールだけではなかろうか?
地域限定かも知れないけれどドッジボールでは「命」と言う考え方があって、ボールに当たったら「命」が無くなり、外野に出る。
体育の時間外に子ども達だけで遊ぶときは「命替え」と言うシステムがあって「命替えOK」の場合はチームメイトと「命」を交換する事が出来たりする。
これはドッジボールが苦手な人間にとってはありがたいシステムで、私のようにドッジボールが苦手な子は強い子がうっかり命を無くしてしまった場合「命替えしてあげるよ」と自分の命を強い子にあげて、飛び交うボールに怯えることなく、のんびり外野で時間を過ごしていたものだ。
女子達のドッジボール嫌いとは対照的に、男子達のドッジボール好きはこれまた凄まじい物がある。
先の土曜日は土曜参観だったのだけど、前半は授業参観で後半は親子活動として「親子ドッジボール」が行われた。
ほとんどのご家庭ではお父さん方が参加したのだけれど、オジサン達が大人げなくドッジボールに興じる姿に、オバサン達は呆れてしまった。
オジサン達も最初のうちはボールを受けても子ども達にパスして、投げさせていたのだけれど、興が乗ってくると本気で自分達が楽しんでいて、挙句の果てには子ども達を当てにかかる始末。
親子ドッジボールでは最後に「親チーム対子どもチーム」で試合が行われたのだけど、親チームが圧倒的勝利を収めた。
オジサン達が子ども相手に大人げなくドッジボールをした事についての是非はともかく、オジサン達は本気でドッジボールが好きなのだな…と感心した。
実際「子どもとドッジボールなんて…」と言っいた夫も楽しそうにドッジボールをしていた。夫曰く「最初は乗り気じゃなかったんだけど、やってみたら熱くなってしまった」とのこと。
ドッジボールって男性の闘争本能に働きかける何かがあるような気がする。
最近は男女の性差についての云々を書くとバッシングされる風潮だけど、持って生まれた男女差ばかりは、どうにもならない気がする。
ドッジボールが好きな女子がいるのも分かっているし、ドッジボールが苦手な男子がいるのも知っている。
しかし「男子はドッジボールが好きな子が多くて、女子はドッジボールが嫌いな子が多い」って傾向がある事は間違いないように思うのだ。
結局、私は小学校生活の6年間を通じてドッジボールを好きになる事は無かった。
たぶん娘も同じ道をたどるのだと思う。娘は「ドッジボールなんて無ければいいのに」と言っていて、それについては実に気の毒だと思うけれど、小学校でなくても社会に出ればままならない事だらけなのだ。
「これも後になったら良い思い出になるよ」なんて慰める気はさらさらない。
娘もきっと「ドッジボールって嫌いだったなぁ」と言う気持ちしか残らないのだろうけれど「世の中にはままならない事がある」って事で「ドッジボールが嫌だ」なんて事の1つや2つ、さらりと受け流して欲しいな…と思う。