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白雪姫とグリムのフェティシズム。

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最近、夫が『マジックアカデミー』と言うアーケード(ゲームセンターにあるゲーム機)にハマっている。夫は元々ゲーマーなのだけど娘が小さい頃はほとんどゲームをしていなかった。しかし娘にそこまで構わなくても良いようになってから、すっかりゲームへの情熱が復活したらしい。

『マジックアカデミー』はクイズ・ゲーム。今どきのゲームなのでオンライン対戦が出来たりSNSのようなものがあったりする。ここのところ夫が夢中になっているのは『童話・児童文学』の検定試験。童話と児童文学について夫よりも私の方がよく知っているので、夫がゲームをして帰宅した後は夫婦で間違った問題のおさらいをするのが恒例になっている。

児童文学はさておき。童話なんて誰でも知ってるものだと思っていたのだけれど、夫は吃驚するほど童話を知らない。例えば『白雪姫』の髪の色なんて言う誰でも知っていそうな事を知らなかったりするのだ。先日は夫に『白雪姫におけるグリムのフェティシズム』について熱く語った。

グリム童話の中でも『白雪姫』は2つの特異性を持っている。1つは白雪姫が黒髪であると言うこと。欧米諸国のお姫様物語は「金髪碧眼」が大正義。黒髪のヒロインの登場は衝撃的だ。しかも「世界で1番美しい」とされている。ヨーロッパでもブルネット等、金髪以外の髪を好む人がいるのは知っているけれど、当時の「お約束」からすると、黒髪の女性が1番美しいだなんて凄い事ではなかっただろうか。

そしてもう1つが『ガラスの棺』だ。白雪姫が王子と出会った時、白雪姫は死んでいてガラスの棺に納められていた。深読みしなければ美しい場面ではあるけれど、よく考えて戴きたい。王子は白雪姫の死体を連れて帰ろうとしたのだ。結果的に白雪姫は生き返ったけれど、王子は白雪姫の死体をどうしようと思っていたのか? 王子が死体の愛好者である事は間違いなく、そうなると白雪姫に対する感想が微妙に変わってくる。夫は「ちょ…そこまで言う? お葬式の時『お別れしてください』とか言って、棺のフタを開けて顔見るでしょ? そのノリなんじゃないの?」と言ったけれど、それは身内だったり、友人だったりする場合の話であって、赤の他人のお葬式に参列して顔を見る…なんて事は普通に考えるとあり得ない話だ。

黒髪の女を世界で1番美しいと断定して、さらに死体を連れて帰ると言うとんでもない話を作ったグリム兄弟の変態さは感動的だ。グリム童話は一から十までグリム兄弟の創作ではなく伝承民話がベースにあったりするのだけれど、ちゃんとした形にしたのはグリム兄弟なのだから、彼らの嗜好が多分に入っていると考えても良いと思う。実にケシカラン素晴らしい!

そう言えば10年以上前に桐生操の『本当は恐ろしいグリム童話』なんて本が流行ったけれど、童話ってハードモード話が多いように思う。

日本の童話にもトラウマレベルでキツイ話が多い。夫には小川未明の作品に目を通しおくよう猛烈にオススメしておいた。

「子ども向けの童話をそんな風に解釈するなんてケシカラン」とおっしゃる方がおられるのも理解しているけれど、童話は数ある本の中でも1冊で2回楽しめる本だと思っている。子どもの時は無邪気にワクワクと楽しんで、大人になってからは「えっ? よく考えてみたらアレって変じゃない?」と別の視点から楽しむ。

夫のおかげで最近、本棚から童話の本を引っ張りだしてくる事が多くなった。時間に余裕のある時に、あれこれ再読してみたいな……と思う。

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