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問題。以下の文章を読んで、家族の幸せの形を答えなさい 早見和真 朝日新聞出版

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私。何だかんだ言いつつ早見和真の作品はけっこう読んでいる気がする。「自分には合わないな」と感じる作品もあるけれど、どちらかと言うと大当たり率が高い。そして今回の『問題。以下の文章を読んで、家族の幸せの形を答えなさい』と言うやたら長い題名の作品はかなり良かった。ちょっと泣いた。

イッキ読みできる面白さだったけど、長過ぎる題名には思わず「ラノベかよ?」と突っ込んでしまった。

ざっくり言うと中学受験と家族がテーマの作品だった。中学受験経験者だけでなく、何かに打ち込んだ経験のある人ならグッとくるような物語だった。

今回は軽くネタバレ込の感想なのでネタバレNGの方はご遠慮ください。(大事なオチの部分は伏せてあります)

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問題。以下の文章を読んで、家族の幸せの形を答えなさい

ザックリとこんな内容
  • 反抗期を迎えていた小学6年生の十和は楽しい母、やさしい父、かわいい妹との生活だが苛立つ日々を過ごしていた。
  • 十和は母の勧めで中学受験を決意するが、勉強のプレッシャーで感情が爆発する。唯一の心の拠り所は、LINEで繋がる「あの人」との交流だった。
  • 受験勉強の中で十和は家族や親友、大阪の祖母との関わりの中で家族の絆や自分の本当の気持ちが見えてきて…

感想

やられた…完全にやられしてまった。

ちょっと出来過ぎと言うか「そんな上手いこといくかよ?」的な部分もあるし、大人達が出来過ぎだったり、子どもも良い子過ぎたりするもののイッキ読みできるタイプの小説だった。

大きなテーマは中学受験だけど、中学受験だけでなく家族を大事なテーマとして扱っていたのがとても良かかった。「中学受験の闇を暴く」みたいなノリではなくて「何かに向かって頑張る子どもとそれを支える家族」の物語。中学受験ではないけれど高校球児とその母を描いた『アルプス席の母』と方向性は同じだと思う。『アルプス席の母』はシングルマザーだったけれど、今回は「父」がクローズアップされるのが大きな違いになっている。

頑張る子どもと見守る親。親も色々辛いのよ…と読んでいて心を揺さぶられた。主人公、十和の父も母もよく出来た大人で実際にあそこまで良き父、良き母はそうそういない。理想的な家族の姿だとは感じたと同時に私にはとても出来そうにないな…とも思った。

今までの早見和真の作品って、その土地をテーマにしているくせに土地を下げるような描写が多くて辟易したものだけど、今回はそう言った描写が無かったのが高評価。

本筋とは関係ないけど『店長がバカすぎて』の山本店長が登場したのには胸熱だった。何しろ私は『店長がバカすぎて』がキッカケで早見和真にハマったクチ。書店での事件の場面で「なんか…既視感がある…これって…」と思ったのだけど本当に山本店長だと知った時は「おおっ!」と思わず声が漏れてしまった。

「早見和真からはこれからも目が離せないな」と強く思った。このまま順調に行けば、彼はいつか直木賞を取れる作家だと確信している。

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