私にはとても優秀な姪がいる。
姪と言っても夫側の姪なので私と血は繋がっていない。1人娘として何不自由なく育てられた姪は、神戸大学を卒業して公務員の道へ。このたび、アメリカへの赴任が決まった。
姪は親戚の欲目を抜いても立派な女性に成長した。夫と「自分が姪と同じ年の頃って何してたっけ?」みたいな話をしたのだけど、夫も私もロクなものではなかった。少なくとも人の役に立つような事は何ひとつていない。
先日、夫の実家に行った時、義母が姪っ子のことをこんな風に言っていた。
「なんのために高い教育を受けさせたのか分からない。こんな事なら、スーパーのレジ打ちでいいから、親の手元に置いて結婚させた方が良い」
夫も娘も怒っていたけど「お兄さん夫婦には言えないんだし、私達に愚痴っているだけだから黙って聞いてあげて」となだめて、義母の愚痴とも恨み言ともつかぬ話を聞いていた。
義母は「女は結婚して家庭に入って子どもを産むのが当たり前」と言う価値観の中で生きていて、他の考え方は受け入れることが出来ないのだ。
姪が一生懸命勉強して、努力を積み重ねてきたのは、スーパーのレジ打ちをするためでも、結婚するためでもない。
結婚して子どもを産み育てることが大切だ…ってことは分かっているけど、私は義母の意見には1ミリたりとも賛成出来ないし、一生分かりあえない気がする。
10年前の私だったら発狂レベルで怒っていたと思うのだけど、今の私は「義母はこれから社会に出て何かする訳じゃないし、義母の考えが世の中に影響を与える訳じゃない。狭い世界で思っているだけなら、それはそれでいいんじゃないかな」くらいの気持ちで受け止めている。
Twitter等で「おさるのジョージの黄色い帽子のおじさんは、ジョージが何をしても怒らずに受け止めているのが凄い」と言われるけれど、私が義母の考えを受け止めてられているのも、ジョージと黄色い帽子のおじさんの関係に近い気がする。
ジョージはおさるだから社会に出て働く必要がない。
黄色い帽子のおじさんはジョージを躾けたり世の中のことを教える必要がないから、笑ってジョージのやっていることを見ていられるのだ。
義母は社会に出て何かする訳ではないのだ。そして義母は「義兄夫妻や姪に自分の意見を言ったら、絶縁される勢いで怒られるだろう」ってことは理解しているので、話を聞くくらい何てことない。
そういえば義母は娘が体操に突っ込んでいる時に「体操なんかやっても、何もならない。オリンピックに出られる訳でもないし」と言っていたっけか。
「女が結婚して子どもを生む以外の生き方をするなんて、とんでもないことだ」なんて呪いのような考え方は、義母や実母の世代で終わりにしたい。
私は姪を応援するし、娘にも自分の好きなように生きて欲しいと願っている。子を生んで育てたい女はそう生きれば良いし、それ意外の生き方をしたい女はそう生きれば良い。
自分の人生は自分のもの。自由に生きればいいじゃないか。
義母のような考え方を闇に葬っていくのが私達世代の役目だと思っている。姪や娘が古臭い考え方に縛られるなんて、トンデモナイことだ。
私は義母のことが大好きだけど女性の生き方については一生分かり合えないのだろうな…と改めて思った。