この作品は福音館の月刊予約絵本『こどものとも』の269号として発行された。
後に同出版社からハードカバー化されている。洗濯が大好きなかあちゃんが、洗濯板でもって洗濯をしている表紙絵が楽しげである。
せんたくかあちゃん
洗濯が大好きなかあちゃんが洗濯板で、家中のもの全てを洗ってしまいます。子どもたち、猫や犬、靴や傘の物までも、みんな洗濯して干されています。
干された子どものへそを狙って雷さまが落ちてくると、かあちゃんは雷さままで洗濯! ゴシゴシ洗ったので、雷さまの顔からは、目も鼻も口もきれいさっぱり。でも大丈夫、かあちゃんに新しい顔を描いてもらい大満足で、空に帰っていきました。
しかしその翌日、さらにびっくりすることが……。
アマゾンより引用
感想
物語のあらすじは、こんな感じ。
家中の汚れた衣類を洗っても、まだ洗濯がしたいかあちゃんは日用品も、犬も、猫も、子供達も洗濯板でゴシゴシ洗い、森の木にロープを張り巡らせて、洗濯物を干していたらば空から、小汚いカミナリ様が落ちてくる。
かあちゃんはとうぜんカミナリ様だって洗濯。
綺麗になったカミナリ様は喜んで空へ帰ってゆくのだがかあちゃんの噂を聞いたカミナリ様の仲間が綺麗に洗濯して欲しくて、空からゾロゾロと降ってくる……
お話の筋も、絵も明るいタッチで好感が持てるのだがこの作品で惹きつけられるのは、かあちゃんの人柄だったりする。
かあちゃんは空から降ってきたカミナリ様を「ほんとに なまいきな かみなりだよ」と決め付けて問答無用で洗濯しちゃう。
しかもゾロゾロとやってきたカミナリ軍団には「よっしゃ まかしときぃ」と2つ返事で洗濯を引き受けてしまう。
まさに絵に描いたような「太っ腹かあちゃん」なのだ。
サバサバとして明るく、元気一杯のかあちゃんは決して美人ではないがとても魅力的で好きにならずにはいられない。
「せんたくものを ほしたあとは ラムネ のんだみたいに すっきりするねぇ」
かあちゃんのこのセリフがお気に入りである。
洗濯を楽しんでいるだけでなく、生きることを楽しんでいるようだ。せんたく好きなかあちゃんは、洗濯が何よりも好きだがラムネも、子供達も、小汚いカミナリ様も好きなのだと思う。
私は洗濯好きではないけれど、この本を読むと、洗濯したいような気分になるのだ。かあちゃんの魅力にハマってしまっているからだろうと思う。
読んで楽しく、読後感は爽快で、元気が出る1冊だと思う。気になる方は是非、図書館などで見てくださいまし。