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私の男 桜庭一樹 文藝春秋

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直木賞受賞作。ネタばれ恐縮だが、要するに近親相姦のお話だった。

正直なところ、どういう風に感想を書いたものかと迷ってしまった。ネタとして好き嫌いが分かれるところだと思う。

ちなみに私は近親相姦は苦手だけれど、読み物として接する場合は「アリかな」と思う。しかし「アリかな」と思う私でさえ、この作品はちょっといただけなかった。

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私の男

落ちぶれた貴族のように、惨めでどこか優雅な男・淳悟は、腐野花の養父。孤児となった10歳の花を、若い淳悟が引き取り、親子となった。

そして、物語は、アルバムを逆から捲るように、花の結婚から2人の過去へと遡る。内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が超えた禁忌を圧倒的な筆力で描く。

アマゾンより引用

感想

桜庭一樹は近親相姦を書きたかったのだと思うのだけど、中途半端に殺人事件を絡めていて「このこの作品はミステリーなのか、それとも文学的な読み物なのか」と言うところにおいて、イマイチ感が拭い切れなかった。

ミステリーとしては全く面白くないし、文学的な見地で言うなら、登場人物を描ききれていないので面白くない。

ミステリーにするなら、お話にもっとひねりが必要だろうし、文学にするなら父と娘の倒錯した愛の姿をガッツリと描いて欲しいところ。

登場人物に思い入れすることも出来ず、物語に没頭することも出来ず、非常に不満の残る読書になってしまった。

作者はライトノベル出身とのことだけど、ライトノベル的に言うなら、こういうノリもアリなのだろうか。

本なんて面白ければ何でもOKだと思うので「ミステリー」だの「純文学」だのといった分類は馬鹿げているとは思うけれど、そのジャンルごとに流儀があるのは否定できない。

ジャンルの垣根を越えてしまうほど面白い作品なら、ジャンルがあやふやなのも良いだろうけれど、そうでない場合は見苦しいの一言に尽きる。

それにしても、どうしてこれが直木賞なのだろう。

言っちゃあなんだが、最近の直木賞も芥川賞も受賞作を読んで「流石に直木賞(芥川賞)を受賞しただけのことはある」と思ったことは無い。

私の中で芥川賞は「これから頑張ってね」的な青田買い賞で、直木賞は「売れっ子になったもんだねぇ。ここらで1つ賞でもあげちゃおうか?」的な功労賞と思っているのだけど、それにしてもなぁ。

もう直木賞や芥川賞に夢を見るのはやめようと、何度となく思ったのだけど「今度の作品はもしかして」と思ってしまうのが本好きの哀しい性。

この作品は私の心の中にある「直木賞読んでガッカリだった本リスト」に記しておきたいと思う。まったくもって、ガッカリさせられた1冊だった

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