子供の頃、大好きだった絵本をあらためて手にとってみた。
『ひとまねこざる』ははシリーズ化しているし、キャラクターグッズも多いので知名度は高いと思う。
「しりたがりや」のこざるジョージが繰り広げる物語で彼は、作品を重ねるたびに様々な経験を積んでゆく。
ひとまねこざる
十数ヶ国語に翻訳され世界中で親しまれているCurious Georgeシリーズの2作目。
「ひとまねこざるときいろいぼうし」から7年の歳月を経て、1947年にアメリカで出版されたロングセラー。
知りたがりやのこざるのジョージは,動物園からにげだします.レストランの台所にとびこんでおさらをあらったり,高いビルの窓ふきそうじをしたりしましたが,そのうち映画俳優になりました.
アマゾンより引用
感想
主人公ジョージが経験することは、誰もが子供の頃に憧れたことが多い。象の耳を布団にして眠ったり、ペンキ塗りを体験したり、入院したり、映画に出たり。
ちょっと、小むずかしい言い方をするならばジョージは読者対象となる幼児そのものなのだと思う。
絵本の世界では、クマやウサギといった動物が二足歩行で話をするのは当たり前だが、それでも比較的人間に近い「さる」を主人公にもってきたところは素晴らしいと思う。
器用に手先を使って行動するとなるとクマやウサギではリアリティに欠ける。
ちなみに、ジョージは「黄色い帽子のオジサン」という人の手によって故郷のアフリカからアメリカに連れてこられてしまう。
現代では「動物虐待」などと言われてしまいそうなものだが、そのあたりが問題にならなかったのは、作品が書かれた時代背景によるものだろう。
私は「表現の自由」をかさにきて、好き放題に書くのが良いとは思わないが、ある程度の自由を容認しなければ、面白い作品は作られないと考える。
私が子供の頃に夢中になった絵本を、今の子供達も夢中になっていることを思うと面白い作品というものは、けっして廃れないのだなぁ……と思った。
まったくの余談ではあるが、そう考えると『ちびくろさんぼ』などは不運な作品だと言えるのではないだろうか。
主人公と共にドキドキしたり、笑ったりすることが読書の第一歩だと思う。
本が他の娯楽に比べて取り立てて優れているとは思っていないが、やはり本好き人間としては、面白い本は愛され続けて欲しいと思う。
絵本の楽しみ方……もとい本の楽しみ方は様々だが時を越えて読むのもまた楽しいものだと思える1冊である。