Twitter界隈で絶賛されていたので手に取ってみた。
奥村光は初挑戦の作家さん。作品は二・二六事件をテーマにしていて主人公は華族の令嬢。「これは設定だけでストライクなヤツ!」と前知識がほとんどない状態で読んだ。
結論から先に書きます。もう30年早く出会いたかったです。
10代の私なら間違いなくガチハマりしていましたが、45歳のオバサンが読むには正直言って厳しかったです。
雪の階
昭和十年、春。数えで二十歳、女子学習院に通う笹宮惟佐子は、遺体で見つかった親友・寿子の死の真相を追い始める。
調査を頼まれた新米カメラマンの牧村千代子は、寿子の足取りを辿り、東北本線に乗り込んだ―。
二人のヒロインの前に現れる、謎のドイツ人ピアニスト、革命を語る陸軍士官、裏世界の密偵。そして、疑惑に迫るたびに重なっていく不審な死。
陰謀の中心はどこに?誰が寿子を殺めたのか?昭和十一年二月二十六日、銀世界の朝。惟佐子と千代子が目にした風景とは―。
アマゾンより引用
感想
主人公は学習院に通う華族令嬢。心中した親友の死の謎を追うミステリー。大河ロマンが好きな人なら、設定だけで白ご飯3杯は戴けると思う。私もそう思って読み進めていった。
ヒロインは華族令嬢と言っても数学と囲碁を愛する変わり種。心中した親友も当時の令嬢感覚から言うと理知的で現代女性の感覚に近いタイプ。
登場人物達は「当時の女性像」ではなく、あくまでも現代に寄せてきているところが読みやすくて良いと思う。
前半は大河ドラマや大河ロマンが好きな人なら楽しんで読めると思う。
社交界の付き合い、豪華絢爛な衣装や行事。幼女がお姫様絵本を眺めてうっとりするように、45歳のオバサンもうっとり読み進める事が出来た。
しかし途中から「なんだかちょっとコレジャナイ」な展開に。
ミステリなのでネタバレは控えるけれど、大人向けのミステリと見せかけて後半は厨二病設定が炸裂。
大人の小説にファンタジーやSF的な設定を突っ込んでくるのが駄目だと言わないけれど、今回はちょっと。宮部みゆき『蒲生邸事件』くらいなら許容できたのだけど、ラノベのチート展開は戴けない。
あと若干ネタバレになりますが大切な事なのであえて書きます。
この作品、まさかの同性愛設定があります。
なので、そっち系が苦手な方にはオススメ出来ない。
なんと言うのかな…同性愛と言っても文学よりもラノベ寄り。私は同性愛設定ドンと来い派で、文学もラノベも両方美味しく戴けますが、これら2つは混ぜるな危険。
中途半端に盛り込んでしまったために微妙な感じに仕上がっている。
そんな訳で、個人的にはこの作品は無理だった。ただ、大作である事は否定しないし、ハマる人はハマると思う。