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ユーラシアの双子(上・下) 大崎善生 講談社

大崎善生はものすごく好きな作家さんだったのだけど、この作品で卒業かも知れない。

次の新作は勢いだけで飛び付かずに、巷の評判を読んでからにしたいと思う。恋愛感情が醒める時って、こんな感じだったよなぁ……と思わせてくれる作品だった。

今回はネタバレ満載で愚痴るので、ネタバレの嫌いな方はご遠慮ください。

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ユーラシアの双子

  

50歳で会社を早期退職し、シベリア鉄道に乗りユーラシア大陸を横断する旅にでた男・石井。

二人娘のうち長女は五年前自ら命を絶ち、三年前に妻とは離婚した。

旅で石井は過去として過ぎ去ってしまった半生を振り返り、孤独と対峙していた。石井は偶然、自殺を決意し同じルートを先行して旅する若い女性・エリカの存在を知る。石井の西への旅は続く。

アマゾンより引用

感想

主人公は大崎善生にしてはめずらしく50代のオッサンだった。

早期退職して無職中…しかも離婚して1人暮らしの男が、シベリア鉄道に乗ってユーラシア大陸を渡ろうとするところから物語ははじまる。

「仕事一筋に生きてきた男の自分探しの話かな?」と最初は好意的に読み進めたのだけれど、想像とはまったく違っていた。

主人公は娘が2人いたのだけど、長女は鬱病で19歳で自殺していると言う設定。主人公はずっと、そのことを引きずって生きているのだけれど、旅先で自殺した長女そっくりな娘に出会い、しかも彼女はユーラシア大陸を横断して、西の果てのリスボンで自殺しようと考えていた。

主人公はなんとしても彼女を助けようと、彼女の後を追っていく……と言う物語。

テーマと言うか、大筋は悪くないと思う。心に深い傷を持つ人間が旅を通して再生していくというのは、文学では王道パターンと言っても差支えない。

使い古され気味ではあるが、人は時として「いかにも」な展開を好むものだ。

中だるみはあったものの、旅の描写は素晴らしかったし、起承転結はハッキリしていて小説らしい小説だったと思う。

だがヒロインに「おっさんドリーム」で染め上げてしまったところが、どうしてもいただけなかった。あのヒロインは一個の人格を持った女性ではなく、おっさんに都合の良い女でしかない。

何よりも許し難かったのは、主人公が亡くなった娘のようだと思いつつ接してきたヒロインにフェラチオをしてもらう場面。あれは酷い。酷過ぎる。

娘を持つ母としては耐えがたかったし、それを抜きにしても「女はセックスで癒される」的な、おっさんの勝手な解釈が不愉快だった。

主人公とヒロインはセックスと言う意味では身体を重ねていないけれど、あの場面はどうにも許し難かった。

しかも、あれだけグダグダ引っ張ったヒロインの心の救済は、ちゃんとした描写の無いまま物語はハッピーエンドになってしまう。

ラストを読んだ時「それは無いわ~」と悪態をついてしまったほどだ。

どうしちゃったの、大崎さん?

前作も変だったけど、今回のも相当、変でしたよ。美しい物語を紡いでくれる作家さんだったのになぁ……。

村上春樹を下品にした感じと言うか、渡辺淳一をマイルドにしたようなと言うか。どうして、こんな品の無い小説を書くようになっちゃったんたんだろう? 年齢的なものなのだろうか。

次回作はもしかしたら読まないかも…と思うほど、どうしようもなく、ガッカリさせられた作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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