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大沼ワルツ 谷村志穂 小学館

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北海道の大沼と言う場所が舞台の物語。

私は谷村志穂の作品はそこそこ読んでいるのだけれど、北海道出身の人だとは知らなかった。

後で知ったのだけど、この作品は実話をベースに作られたとのこと。

正直言って相当突拍子のない展開なのだけど実話だと聞いて「真実は小説より奇なりだな」とか「突拍子もない話だと思ったけれど事実じゃ仕方ないな」と納得してしまった。

今回はネタバレを盛り込みつつ書くのでネタバレが苦手な方はご遠慮ください。

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大沼ワルツ

大沼は、明治時代、手つかずの美しい自然に魅せられた開拓民が入った地。

香川県から移り住んだ、倉島家に育った三兄弟の長男・秀雄は、第二次世界大戦中、東京で溶接学校に通っていた。

秀雄は、よく行く寿司屋で、山梨から住み込みで働きにきていた、坂田家の長女・以久子と出会う。恋に落ちて結婚した二人は、大沼に戻って暮らし始める。

そして、長男長女に続き、どうしたことか、次男には次女が、三男には三女が、順に嫁いでいくことになる。三夫婦は、様々な困難に見舞われながらも、この地に新風を注ぎ込んでいく……。

アマゾンより引用

感想

スタートは終戦直後の東京。山梨県出身の女性が東京で働いている時に知り合った北海道の男性に嫁ぐところから。

いきなりネタバレさせていただくけれど、ヒロインは三姉妹の長女。そして最終的に三姉妹は全員北海道の大沼に嫁ぐことになる。

姉妹が兄弟とそれぞれ結婚する…と言う展開。流石にちょっと面食らった。

昔はこう言う事ってちょいちょいあったのだろうか? 一応、作品の中でも「そんな馬鹿な話」みたいに書かれてはいたものの、違和感半端なかった。

だけど「これは本当にあった事なのです」と言われてしまうと、どうしようもない。

話運びの突拍子の無さはさておき。気持ちの良い物語ではある。

私が1番感心したのは三姉妹が嫁ぐことを決意した理由に「大沼と言う土地と、そこに住む人達の大らかさと開放感」がある。

三姉妹は生まれ育った山梨では閉塞感を感じていたようで、大らかな気風のある土地で生き生きと暮らす姑を見て「ここで暮らしたい」と決意した部分が大きいように思う。

これって、男性からすると「なんじゃそら?」と思われるかも知れないけれど、私自身結婚してみて「お土地柄ってあるなぁ」と感じる事がある。

もちろん、その土地に住んでいるすべての人が同じ考え方だとは思っていないけれど、雰囲気と言うかそういうところはある気がする。

ヒロインが大沼に嫁いでから、妹達も大沼に嫁ぐことになり、電気屋をしてみたり、ユースホステルを経営してみたりと物語が進んでいく。

物語は主人公夫婦が出会うところから、夫が亡くなるところまで描かれていてけっこうなボリューム感がある。

しかし、三姉妹の結婚、出産、大姑、姑の死、子どもたち世代の事、電気屋だのユースホステルだのの経営と相当色々詰め込まれていて飽きる事無く読み進められた反面、どのエピソードもあっさり通り過ぎてしまった気がする。

この作品について好きか嫌いかを聞かれたら「嫌いじゃない」と答えるけれど、ちっょと物足りない感があるのは否定できない。

「家族の物語」なので仕方がないとは言うものの、主人公不在で散漫な印象になっている気がする。

読みやすい文章で物語がいっきに進んでいくのでグイグイ読めるので「休日のお供」とか「旅のお供」として読むには良いかも知れない。

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