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『僕だけがいない街』と忘れていた同級生の思い出。

今期は珍しく視聴するアニメが多くて忙しい。

楽しみにしているのは『鉄血のオルフェンズ』『昭和元禄落語心中』『僕だけがいない街』『プリンス・オブ・ストライド』の4本。中でも『僕だけがいない街』は毎週、目が離せない。

『僕だけがいない街』は人気の漫画をアニメ化した作品で、舞台は北海道。

売れない漫画家の青年が小学生時代に遡って、殺害された同級生の少女を救い、無実の罪(だと思われる)で死刑囚として刑務所にいる男を救い出す事が出来るかどうか……と言う物語。

主人公が救いたいと思っている同級生少女は母親から虐待を受けていると言う設定。虐待シーンは観ていて胸が痛くなる。

そして「親か虐待を受けている子」の描写が的確で、毎週「どうか、あの子を助けてあげて」という気持ちで見続けている。

そして私は『僕だけがいない街』を観ているうにち「この子、なんか知ってる子に似ている……」と言う既視感に襲われた。

そう。すっかり忘れていたけれど、小学校の同級生に虐待されている女の子がいたのだ。

『僕だけがいない街』のヒロインの少女は顔は違うけれど、彼女と実に良く似ているのだ。彼女を仮りにAとする。

私とAは特に仲良し…ってほどではなかった。

クラスメイトではあったし、何度か家を行き来したりはしたけれど1番の仲良しは他にいて「クラスメイトの1人」と言う位置づけ。当時、Aが虐待されているのは全く知らなくて、随分経ってから「あれって……」と気がついた。

虐待されている子は、不思議と親をかばうのだ。

顔が四谷怪談の「お岩さん」のように腫れ上がって、痣を作って学校に来た時も「棚の上から弟の玩具が落ちてきた」と言っていたし、足を打撲して片足を引きずるようにしていた時も「アパートの階段から落ちた」と言っていた。いつもボロボロの服を着ていて、髪もボサボサ。担任からもキツく当たられていたように思う。

小学生の頃、私はその担任を「熱心ないい先生」だと思っていたけれど、彼は生徒が虐待を受けている事に気付いていたのだろうか? 大人になってみると、色々とモヤモヤするところがある。

Aの母親は吃驚するほどの美人で、宝塚歌劇にハマっていた。裕福とは言えない佇まいのアパートの部屋は場違いなほど大量の宝塚グッズがあって、当時活躍していた男役スターのサインが飾ってあった。

Aは「私のお母さんは○○さんとお友達だからサインを貰ったんだよ」と言っていて、私もその頃から宝塚歌劇が好きだったので「それは凄いねぇ」と単純に感心していたのだけど、今にして思えば嘘だったのかも知れない。

Aのアパートに遊びに行くと「私のお母さんは、綺麗で優しくて……」といつも自慢されたのだけど、子ども心に、とてもそうとは思えなかったのを覚えている。

中学に入るとクラスが変わってしまってAとは疎遠になってしまった。たまに廊下ですれ違って手を振る程度。

Aは絵に描いたような不良に成長して、中学を卒業して働き10代で結婚したと別の同級生から聞いた。ご主人はトラックの運転手で、お子さんも恵まれて幸せにやっていると聞き「複雑な家庭環境だったみたいだけども幸せになって良かったなぁ」と、なんとなくホッっとしたものだ。

これで話が終われば「めでたしめでたし」で良いのだけれど、成人式で同級生と会った時、Aのご主人がトラックにはねられて亡くなった事を知った。

その時、たぶんお子さんは2歳だったと思う。以降、彼女の消息は分からない。

『僕だけがいない街』を観るまで、私はAの事をすっかり忘れていた。

当時はまだ「虐待を通報する」と言う制度が確立されていなかったのだと思うのだけど、どうにかならなかったのだろうか?

私がAが親から虐待を受けていた事に気付いたのは、小学校を卒業してからの事だ。当時それを知ったからと言って、どうにか出来たとは思えないけれど、なんだか色々と悔やまれる。

今さらこんなところにAとの思い出を書いてみたところで仕方がないのは分かっているけど、書かずにはいられなかったのだ。

Aとは2度と会えないだろうと思うけれどAの幸せを祈らずにはいられない。Aが「色々苦労したけど元気でやってるよ」と暮らしていたらいいな……と思う。

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日記
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白い木蓮の花の下で
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