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リケジョ! 伊与原新 角川文庫

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私、何だかんだ言って伊与原新が好きみたいだ。私自身は完全に文系人間で数学も理科も大嫌いだけど『宙わたる教室』は大好きだし、今回の『リケジョ!』も大変気に入った。どれくらい気に入ったかと言うと、私が石油王なら『リケジョ!』を日本全国の小中高校の学級文庫として送りつけるな……ってくらいに気に入った。

大人が読んでも面白いけれど子どもにも読んで欲しいと思える1冊だった。理系ジャンルがチンプンカンプンな人でも楽しめる作品に仕上がっている。

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リケジョ!

ザックリとこんな内容
  • 理論物理学を専攻する大学院生の仁科律は留学費用を稼ぐため成金令嬢・馬淵理緒の家庭教師を引き受ける。科学好きなことから「教授」と呼ばれながら奇妙な出来事に関わり始める。
  • 律と理緒は「投げ出し墓」の怪談やストーカー騒動、猫の不審死事件などを調べ、運転手の恵人や塾生の才田らと協力しながら、科学知識を使って身近な謎を解き明かしていく。
  • そんな中、大学研究室で警備員が殺害される事件が発生。律は高校時代の同級生・浅尾朋香や研究関係者たちと再会しながら、理緒とともに事件の真相へ近づいていく。
  • 最後に律は、幼少期に病院で出会った少女と理緒の家族につながる過去を知り、自身が理緒の家庭教師になった理由と二つの家族を結ぶ秘密を受け止めることになる。

感想

冒頭で伊与原新の作品が好きだ……と書いたけれど、好きだとは言っても全作品がド真ん中な訳ではなくて、直木賞受賞作である『藍を継ぐ海』はそれほど心に刺さらなかった。それなのに『宙わたる教室』だの、今回読んだ『リケジョ!』はド真ん中だった。何故か?

答えは簡単でどちらも「子ども」が前に出てきているから。伊与原新のテーマとして「若い人に自然科学の面白さを伝えたい」ってところがあると思うのだけど、そのメッセージが伝わってくるのが良かったのだと思う。

『リケジョ!』は悪く言うとラノベっぽい感じではある。「そうはならんやろ~」みたいな都合の良い展開もあるし、そもそも「成金令嬢」が登場する……ってところからしてラノベとか漫画っぽい。しかし読書離れが進むこのご時世。本を手に取ってもらう仕掛けをしなければ読んでさえもらえない。「読みやすい文章を書く」って大事なところだと思う。

律から新しい知識を得て「科学って面白い」とワクワクしている理緒の姿は微笑ましく、小さな弟子から気付きを得て律が成長していく姿に好感を持った。

正直、大人の読み物としては軽過ぎるし、特に最後のエピソードについては「倫理的、制度的にどうなのよ?」と思う箇所もあったけれど、科学の楽しさを感じながら読む小説としては大成功だと思う。「国語は好きだけど理科は嫌い」と言う子どもに是非読んで欲しい。

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