『女の子の背骨』の作者の市川沙央は『ハンチバック』で第169回芥川賞を受賞。
短編集『女の子の背骨』は、難病を抱える少女の日常を描く表題作と、思想に取りつかれた女子大学院生の葛藤を描く「オフィーリア23号」の二篇を収録。身体や性別をめぐる違和感を抱えながら生きる人物たちの内面の物語。
ちなみに作者の市川沙央は人工呼吸器と電動車椅子を利用する重度障害者。作家自身の経験等も投影されているのかなぁ~と推察しながら読み進めた。
女の子の背骨
- 『女の子の背骨』の主人公ガゼルは筋肉の病気のためコルセットを着けながら日常を送っている。だが同じ病気でも症状の重い姉がいるため、家族や周囲の関心は常に姉へ向けられ、自分の苦しさを表に出せないまま暮らしていた。
- 成長するにつれガゼルは、自分の身体の制限や将来への不安を強く意識し始める。病院での診察や学校生活の中で、普通の身体を持つ同世代との違いを感じながら、病気と共に生きる現実を受け止めようとする。
- 『オフィーリア23号』の主人公である女子大学院生の那緒は、女性の存在を否定する思想を唱えた哲学者に強く影響を受けていた。女性である自分自身の存在を疑いながら、哲学や文学を読み込み、その思想を実践で証明しようと考える。
- 彼女は三島由紀夫の作品を原作にしたポルノ映画に出演する計画を知り、そこへ参加することを決意し……
感想
私は市川沙央に期待し過ぎてしまったのかも知れない。
『ハンチバック』の時は衝撃的だと思ったけれど、今回は萩尾望都の『半神』を純文学にした感じだなぁ~と思ってしまった。双子設定ではなかったものの「同じ疾患を持つ姉妹」ってところや空気感が似ている気がした。ただ、これは設定を真似た…のではなく、市川沙央の姉も同じ疾患を持っているとのことなので、自分自身を投影したキャラクターなのだとは思う。
そして一番気になったのは、リアリティの無さ。市川沙央は重度の障害者で健常者が当たり前として経験できることを経験できないため、そのあたりの描写が弱くなるのは仕方がない……とも言えるだろうけど「経験しなければ書けない」と言うのであれば、人を殺したことのない人はミステリ小説が書けない訳で、それは違う気がする。「この作家さんって、さも見てきたように書くな!」と感じる作家さんも多いので、これは作家としての力量の違いではなかろうか。
個人的には2作ともイマイチ面白くなかったのだけど、市川沙央は色々な事に対して怒っているのだな……ってことだけは伝わった。それは社会に対してだったり、女性の置かれた立場だったり色々と。
私の属性から言うと市川沙央の作品は好みに合いそうな気がしていたのだけど、微妙に方向性がズレているようで残念だった。作品を読んでの感想と言うか直感でしかないのだけど、市川沙央の親はセレブリティでは裕福な家庭で育った人なのかな? なんかね…書いてる内容が、いちいち上から目線のような気がしてしまった。
本当に申し訳ないけど「恵まれた人が好き勝手なこと書いてるなぁ~」くらいに思ってしまったのだ。
好きな人には刺さると思うのだけどワタシ的には方向性の違いで解散するバンドくらいに合わない1冊だった。


