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琥珀のまたたき 小川洋子 講談社

最近、小川洋子は調子が上がってきている気がする。

『琥珀のまたたき』では圧倒的な小川洋子ワールドを堪能させてもらった。

『博士の愛した数式』のようなハートフル路線が好きな人は止めておいた方が良い。小川洋子の残酷さが発揮された「優しくない世界」だった。

どちらかと言うと、小川洋子は「こちら側」の世界を描く人だと思う。『妊娠カレンダー』でグレープフルーツジャムを作る女のいる世界こそが小川洋子ワールドの真骨頂だ。

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琥珀のまたたき

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講談社
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魔犬の呪いから逃れるため、パパが遺した別荘で暮らし始めたオパール、琥珀、瑪瑙の三きょうだい。

沢山の図鑑やお話、音楽に彩られた日々は、琥珀の瞳の奥に現れる死んだ末妹も交え、幸福に過ぎていく。

ところが、ママの禁止事項がこっそり破られるたび、家族だけの隔絶された暮らしは綻びをみせはじめる。

アマゾンより引用

感想

形としては毎度お馴染み「大人の童話」的な柔らかい雰囲気になっている。

とある福祉施設で暮らす「アンバー氏」と「私」の会話からアンバー氏の数奇人生が引き出されていく。雰囲気だけは「優しい世界」なのだけど、これは立派な監禁小説。

実際にある監禁事件をモチーフにした作品は掃いて捨てるほどあるけれど、それらのモチーフをここまで昇華させてくるとは恐れいった。

アンバー氏は3人姉弟の真ん中の子どもだった。

姉の名はオパール。アンバー氏は琥珀。弟が瑪瑙。それぞれ本名ではなく、母親と共に古い洋館に移り住んだ時に「今日からこの名前を使いなさい」と母親から強制された名前だ。

3人の姉弟は外界からは隔絶された屋敷の中で生活をはじめる。

3姉弟は「魔犬から襲われないために屋敷の外に出てはいけない」と母親から厳しくしつけられる。

もともと姉弟にはもう1人妹がいて、妹は病死するのだけど、母親は「魔犬のせいで妹が死んだ」と思っていて、子ども達の父親が死んで遺産として屋敷を残してくれたのを機に3姉弟を屋敷に閉じ込めるようになる。

ファンタジーめいた雰囲気で語られるのだけど、この時点で母親は既に狂っているのが恐い。

3姉弟達は監禁されながらも心豊かな日々を送る。

図鑑を読み、歌い、踊り、独自の世界を作り上げていく過程はなかなか面白い。彼らは一見すると不幸ではないようなのだけど、読者からすると微妙な気持ちにさせられる。

私は『屋根裏部屋の花たち』と言う古い映画(小説も出版されている)を思い出してしまった。

ラストで子ども達は屋敷を出ることになるのだけれど、この辺りのくだりはネタバレになるので気になる方は是非読んでいただきたいと思う。

非常に残酷な結末になっている。

殺人が起きる訳でもないし、バケモノも幽霊も出てこないけれど、よくよく読んでみると非常に恐ろしい。自らが満足するために我が子を監禁する母親と、隔絶された世界で生きる子ども達。

「支配される人間」を書かせたら小川洋子は美味すぎる。

ホテル・アイリス』の時も感心したけれど、今回も素晴らしかった。

個人的には面白かったけれど、くれぐれも「小川洋子の優しい世界」を期待しないで読んでいただきたい。

どちらかと言うと理屈で読むのではなく感じるタイプの作品だ。残酷でイビツで、しかし美しい世界を思切り堪能出来る良作だと思う。

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白い木蓮の花の下で
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