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川島なお美とキュルトヘンの帽子。

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女優、川島なお美が癌で激ヤセ……と言うニュースをネットで見て、悲しい気分になってしまった。

川島なお美と言えば『失楽園』とか『お笑いマンガ道場』を思い浮かべる人が多いと思うのだけど、私にとって川島なお美はいつまでも『キュルトヘンの帽子』のキュルトヘンだ。

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キュルトヘンの帽子

『キュルトヘンの帽子』とは1985年に舞台化された子ども向けミュージカル。

恐らく夏休みの子ども向け企画だったのだと思う。

原作は萩尾望都。主人公の少年は小林聡美。谷啓なんかも出演していて、今にして思えば超豪華キャストだった。

当時、私は中学1年生。生の舞台ではなく冬頃にあったテレビ放送で観た。

『キュルトヘンの帽子』はグリム童話の『がちょう番の少女』が下敷きになっているとの事だけど「生まれてくるはずの赤ちゃん」等の設定はメーテルリンクの『青い鳥』のイメージと重なる。

主人公の少年の精神世界の物語で川島なお美扮するキュルトヘンは主人公の分身のような存在だった。魂の双子…的な感じ。

凝りに凝ったストーリーと子ども向けにしては気合の入った音楽。それはそれは素晴らしい舞台だった。

どうして、そんな昔の舞台のことを克明に記録出来るかと言うと、当時、テレビ放送で『キュルトヘンの帽子』を観て感動した私は「これは死ぬまで覚えておかねばならない」と決意して、テレビを観た後、克明なメモを残したのだ。

私はその頃から舞台が好きで吉本新喜劇や松竹新喜劇、宝塚歌劇から新劇等テレビで放送があると観まくっていて「これは凄い!」と思った作品についてはちょっとした感想ノートを付けていた。昭和の頃は今より舞台中継が多かったのだ。

流石にそのノートは処分してしまったけれど、自分の手で書き記した事は意外と覚えているらしい。

川島なお美のキュルトヘンはピーターパンを知的にしたようなキャラクターで「惚れてまうやろ」レベルで素敵だった。

それ以降、私の中で川島なお美は何年経っても緑色の服の妖精キュルトヘンで『失楽園』の時は「ああ……あのキュルトヘンがなんてこった…」と、ちょっぴりショックだった覚えがある。

そんな経緯があって実は川島なお美の事が好きなのだけど、あんなな姿になってしまっていたとは。

回復される事を願っているけれど、どうなんだろう。

私自身も年を取っているのだから私が好きな有名人・芸能人も歳を重ねているのは当たり前の事なのだけど、昔の思い出が鮮明であればあるほど病気や訃報のニュースに触れると「えっ? そんなお年だったっけ?」と驚かされてしまう。

いつまでも同じ場所ではいられない。時間の流れは無情だな……と思う。

追記

川島なお美さん…もとい、キュルトヘンが向こうの世界に帰ってしまわれました。本当に残念でなりません。川島なお美さん『キュルトヘンの帽子』で見せてくれた、ヤンチャで魅力的なキュルトヘンのことは一生忘れません。心からご冥福をお祈りします。