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原作ファンのための宝塚『ポーの一族』感想。

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娘がスキーキャンプに参加期間中、宝塚で公演中の『ポーの一族』を観に行ってきました。今回は長々と舞台の感想を書くので興味の無い方はスルーでお願いします。

私は関西の女子校出身なので宝塚は嗜み程度には馴染みがあります……とは言うものの、最後に宝塚を観たのは10年以上前。

最近の宝塚事情については全く知りません。何しろ天海祐希のサヨナラ公演をリアルで観た世代。『エリザベート』と言えば「一路真輝と花總まりですよね?」ってレベルで昔の事しか知りません。

書いている人間は宝塚ヲタクと言うよりアニメ&漫画ヲタクである…と言う前提で、ひとつ大らかな気持ちで感想を読んで戴きたいと思います。

『ポーの一族』とは?

『ポーの一族』と言えば萩尾望都の名作漫画です。

1970年代に発表された作品なので私と同世代の人は「リアルタイムで読んでいた」のではなく「友達のお姉ちゃんに借りて読んだ」って感じだと思います。

50代の人がストライクゾーンなのかも。何にせよ当時は大変な人気でしたし、今も少女漫画の古典として君臨し続けている作品です。

吸血鬼(バンパネラ)をテーマにした作品で大人になれない不死の少年エドガーが主人公です。ドラマティックな展開と耽美な世界観にハマった少女は多かったのではないかと思います。もちろん私もその中の1人。

たぶん今回も『ポーの一族』でなければ、「宝塚に行こう!」とは思っていなかったかも知れません。

宝塚を知らない原作ファンの心構え

「宝塚で『ポーの一族』をするって聞いたから観てみたいな~」と言う原作ファンの方がいらしたら、観に行く前に多少の覚悟をして戴きたいと思います。

これは普通の2.5次元の舞台ではなく宝塚歌劇です。宝塚歌劇はミュージカルなので出演者は歌って踊るのが仕事です。

なのでエドガー達、吸血鬼が踊りまくります。身体弱い設定のメリーベルでさえ踊ります。なので「吸血鬼が踊るとか何なの~」と思う方は観ない勇気が必要です。

それともう1つ。宝塚にはガチファンではない人には受け入れ難い謎の演出が存在します。

私はこれを「宝塚税」と呼んでいるのですが、宝塚税を受け入れられない人は宝塚歌劇を観劇するには向きません。

『ポーの一族』で言うと、エドガーが自らの心情を切々と歌い上げつつ踊る場面があったとします。

普通なら心情を歌い踊るならエドガー1人で充分なのですが、宝塚ではエドガーと同じ扮装をした謎の「エドガーダンサーズ」が登場してバックで踊り狂う…みたいな演出になるのです。

「なんで、こんな訳わかんない事するの?」と憤慨してはいけません。これこそが宝塚税(宝塚独特のお約束)なのです。

原作ファンは宝塚版『ポーの一族』は観ない方が良いのか?

では原作ファンは宝塚版『ポーの一族』を観ない方が良いのでしょうか?

これについては「人による」としか言えません。宝塚税を受け入れる事が出来るのであれば充分楽しめるかと思います。

物語はかなり忠実に再現さていれます。舞台化の問題で多少の改変はありますが、物語を追うと言う意味ではよく出来ていると思います。

そして何よりビジュアル的には最高だと言っても過言ではありません。

昨今はアニメや漫画を舞台化するする2.5次元がブームですが『ポーの一族』を舞台化するのに宝塚以上に相応しい集団を私は知りません。

萩尾望都作品と男性だけの耽美劇団として知られているスタジオライフが『トーマの心臓』を舞台化していて、これもけっこう良かったのですが宝塚の再現度の足元にも及びません。

今回の宝塚でも『ポーの一族』の再現度は凄まじいものがあります。

宝塚版の『ポーの一族』では主人公エドガーが原作より少し年上に見えてしまうのが残念ですが、その残念さを差し引いても観ておいて損のない美しさです。

エドガー以外の登場人物も文句なしの美しさでした。

大事な事なのでもう1度書きますが、宝塚税(宝塚独特のお約束)を受け入れるのであれば、宝塚版『ポーの一族』は原作ファンでも楽しめると思います。

原作ファンではなく舞台好き人間としての感想

以上は『ポーの一族』の原作ファンとしての感想でしたが、ここからは舞台好き人間としての感想など。

10年以上ぶりの宝塚で昨今の宝塚事情を知らないので書きますが、正直なところ歌は残念だと思いました。

トップの人、そこまで歌が上手じゃないような。そしてアランを演じた2番手の人はトップの人よりもさらに残念で歌の歌詞が聞き取りにくい。私は歌メインで観てしまうので「もう少し上手い人で観たかったな」と言うところが本音です。

シーラを演じた娘役さんのトップの人は見た目も歌も好みでしたが、メリーベルを演じた人がこれまたちょっと残念な感じ。

見た目はこれ以上望めないほどメリーベルなんですが、メリーベルの儚さや天使感が伝わってこないんですよね。もう少しあどけない可憐な娘役さんはいなかったものかと。

……などと文句ばかり書いていると「面白くなかったのでは?」と思われそうなのですが、舞台の出来としては最高だったと思っています。何故なら宝塚は歌だけを聞きに行くものではないからです。

エドガーを演じたトップの男役さん。歌はイマイチな気がしましたが演技が良かった! 前半は「なんかエドガーっぽくないよな~」と思っていたんですが途中からエドガーが乗り移ったみたいに役に入っていて素晴らしかった!

特にメリーベルと再会して「妹を守りたい」と言う一心からエドガーが強くなっていく過程は最高でした。

トップスターの色気全開、魅惑のバンパネラそのものでした。エドガー以外の役を演じた人達も熱演しているのが伝わってくる熱い舞台でした。

最初に「再現度が凄い」みたいな事を書きましたが衣装が本当に素晴らしかった!

衣装観るためだけに観に行っても良いレベルだと思います。「乙女の憧れの世界」を表現させたら宝塚の右に出るものはいないと思います。

私は10年以上ぶりに宝塚の舞台を観たわけですが「昔に較べたら宝塚税が軽くなったな…」と感心しました。

まぁ…正直色々あります。

「謎のエドガーダンサーズ」とか、「それ、いるの?」としか思えないクレーン(ゴンドラ)に乗っての歌唱とか、余韻を残して物語が終わったのに、本編とは関係ないキラキラショーがはじまるとか。

それでも昔から較べると随分と一般人にも見やすくなっている気がしました。

ありがとう宝塚!

長々と感想を書き連ねてしまいましたが10年以上ぶりに観た宝塚の舞台は最高でした!

「宝塚税」なんかもあったりする訳ですが、それでも私は宝塚が好きです。そうしょちゅうは行けないかと思うのですが「これを機にまた足を運びたいな」と言う気持ちにさせられました。

個人的には『ポーの一族』が好きで「宝塚、観てみたいな~」と言う方がいらしたら、足を運んで戴きたいと思います。

素晴らしい舞台を観ることが出来て元気になれた気がします。

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