『地面師たち ファイナル・ベッツ』は『地面師たち』の続編にあたる作品。『地面師たち』が気に入ったので絶対に続編を読もうと思ってた。勢いで読んでしまうともったいない気がしていたので、熱が冷めたタイミングを見計らっていた…って感じ。
前作で一人勝ちしたハリソン山中は今回も登場。舞台は日本からシンガポールに移っていた。
地面師たち ファイナル・ベッツ
- 元Jリーガーの稲田賭博にのめり込み全財産を失い、失意のどん底にいた
- た大物地面師・ハリソン山中は、稲田に目を付け、IR(統合型リゾート)誘致が期待される北海道・苫小牧での地面師詐欺の仲間に引き入れる
- 一方、警視庁捜査二課の刑事・サクラは、ある不動産詐欺事件の捜査中に地面師一味の関与を疑って追跡を続けていた…
感想
前作の時も思ったけれど『地面師たち』のシリーズはハリソン山中のイカレっぷりを楽しむ作品だと思う。今回のハリソン山中もイカれていて良かった。
特に今回はハリソン山中が北海道で羆と対峙する場面があって、熊撃ちの場面は緊迫感があって痺れた。ハリソン山中…カッコイイ。そこに痺れる憧れる。
ただし物語自体は前作よりも劣るのは続編ならでは。ハリソン山中はカッコイイ。だけど物語のメインである「地面師詐欺」って意味では作り込みが甘い。前回は積水ハウスの地面師詐欺事件がベースになっていたのでリアリティが感じられて良かったのかも知れない。
あと何だろうな…前作で散々ハリソン山中のイカレっぷりを堪能した読者からすると、読んでいて「どうせハリソン山中が一人勝ちするんでしょ?」って気持ちが拭えないのでドキドキ感が無いのも足を引っ張る原因なのかも知れない。
それにしても元Jリーガーの稲田はバカラ賭博で身持ちを崩しているけれど、海外の賭博にハマる人って多いのだろうなぁ…なんてことを思ったりした。お笑い芸人の誰だったかが賭博で捕まったか、謝ったかしていたような。私は本質的に賭け事の出来る人間ではない(競馬は観る馬券も買うけど応援馬券でしかない)ので、賭博にハマってしまう人ってどんな感じなんだろうな…興味を持った。
『地面師たち』のシリーズは3作目(前日譚)的なものがあるらしい。あまり良い評判は聞かないけれど、せっかくなので気が向いたら読んでみたいと思う。