『イコ トラベリング 1948-』は『魔女の宅急便』でお馴染みの角野栄子の自伝小説とのこと。私はそのことを知らずに「ジャケ買い」ではなく図書館で表紙を見て「表紙借り」した。
「角野栄子は私自身、そして娘も小さい頃にお世話になっているけれど、大人向けの小説となるとどうなの?」と言う好奇心から手に取った訳だけど、残念ながら私の好みではなかった。
ちなみに私が角野栄子の作品の中で1番好きなのは『魔女の宅急便』のシリーズではなくて『ちいさなおばけアッチ・コッチ・ソッチ』のシリーズ。
イコ トラベリング 1948-
- 世界的児童文学作家、角野栄子の『トンネルの森 1945』に続く自伝的物語。。
- 1948年、終戦後の日本。中学2年になったイコの周囲には、やけどを負った同級生や傷痍軍人の物乞いなど、今だ戦争の傷跡が多く残されていた。
- 母を早くに亡くしいつも心のどこかに不安を抱えるイコだったが、英語の授業で習った【~ing=現在進行形】にがぜん夢中になる。
- イコは常に「いつかどこかへ行きたい。私ひとりで」そう強く願うようになるのだが、日本からの海外渡航が許されない時代だった。
感想
角野栄子の自伝的小説だと知らずに読んでいた…ってこともあったのだろうけど、主人公のイコが最初から最後まで好になれなかったのが決定的に駄目だった。
実のところ私もイコと同じで小さい頃から「いつかどこかへ行きたい。私ひとりで」と思うタイプの人間だった。なのでイコの気持ちは分からなくもないのだけれど、いかんせんイコは物語の中で本気で何かに取り組んだり「寝ても覚めても」くらいの勢いで情熱を傾けることが無いのだ。
イコは恵まれた環境にあるものの、人の言葉に流されがちで嫌なことは後回し。ふわりふわりと糸の切れた凧のように生きているタイプの女の子。どうにもこうにも私の好きなタイプのヒロインではなかったし、むしろイライラするタイプだった。
……とは言うものの。イコは角野栄子自身と言うことなので最終的には一角の人物になるのだなぁ。大器晩成型の人間って、あんな感じなのかも知れない。
それにしても。児童小説と大人向けの小説は手法が違うのかも知れない。『イコ トラベリング 1948-』は笑っちゃうほどぶった切りな感じの終わり方で、アニメ界隈で言うところの「俺達の戦いはこれからだ!」みたいな打ち切り漫画のような終わり方をしている。「えっ? ここで終わってしまうの?」と膝カックンだった。
角野栄子が好きで角野栄子の副読本として読むならアリかも知れないけれど純粋に小説を楽しみたいと思って読む本としてはオススメできない。あえて良かった探しをするならば、戦後の日本の様子は分かりやすく描けていたかな…ってことくらい。
巷の評判は悪くなさそうだけど個人的には得るものもなく楽しむことも出来ず…と、残念な1冊だった。

