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天使はここに 朝比奈あすか 朝日新聞出版

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全国展開しているファミレスで契約社員として働く女性が主人公のお仕事小説。

お仕事小説としては出来の良い部類に入ると思う。素直な文章でサクサク読みやすくて面白かった。連続ドラマ向きなんじゃないかと思う。

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天使はここに

ファミレスの契約社員として働く真由子は高校のアルバイト時代から7年のキャリアを持つベテラン。

だがあまりに働き詰めの生活に、恋人にも「真由ちゃんの店、ブラックくさいわ。搾 取されてる、みたいな」とまで言われてしまう。

忙しい日々の中、常連客の老紳士や信頼できるスタッフとの交流が真由子の心の拠り所だったが──。

決して楽 ではない職場での人間関係と日々起こる事件の数々から、主人公の心理的成長を繊細にみずみずしく描いた物語。

アマゾンより引用

感想

主人公がとても可愛らしくて「くそ」が付くほど真面目だという設定に好感が持てた。

主人公の目線読んでいると、どう考えても主人公には割の合わない事ばかりで、イライラしちゃったりもするのだけれど、若い人が真面目に頑張る話は読んでいて気持ちが良い。

主人公を取り巻く若者達も「現代の若者」って感じで、とても良い。

特に際立っていたのが、母親との関係に悩むトキちゃんと、「いかにも要領の良いタイプ」な関根さんの対比。どちらのタイプも「あぁ…こういうタイプの子って、いるよねぇ」と思わせるような女の子達で面白かった。

私はトキちゃんタイプなので、ついついトキちゃんを応援してしまっていたけれど。

残念だと思ったのは主人公の設定に凝りすぎていたところ。

不遇の生い立ちってのは悪くないけれど、この物語にはそこまで必要ないのではないかと思った。特殊な生い立ちがイマイチ生かし切れておらず、詰め込み過ぎの印象を受けた。

中途半端に特殊な設定にして、その説明に容量を使ってしまった分だけ、掘り下げて欲しい部分が薄味になってしまっている。

主人公の性格なら、一般的なサラリーマン家庭の子か、せめて一人親家庭くらいで良かったんじゃないかと思う。

あと朝比奈あすかはお若い方なのか、認知症老人のエピソードの描き方は稚拙だと思った。一事が万事「コレジャナイ」感じ。

認知症の老人にしても、家族の対応にしても。小説だし細かい事はいいのかも知れないけれど、オバチャン目線で読んでいると「認知症の家族の人って独身の女の子のママゴト遊びと感傷に付き合ってる暇は無いんじゃいかな」と思ってしまった。

文句ばかり書いてしまっているけれど一気読み出来る面白さだった。

読後感も悪くない。自分も主人公が働いているファミレスの店員になった気持ちでドキドキしながら読ませてもらった。

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