102歳で1人暮らしをされている石井哲代さんの生活を綴った1冊。エッセイのようなインタビューまとめのような立ち位置。
「元気で長生きする」って凄い事だと思う。まして102歳ひで1人暮らしとか「どんな超人なの?」と驚きを禁じえない。哲代さんも元気で明るくて『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』を読んだ後はなんだか元気になった気がした。
「長生きする」と言っても色々な形があるけれど100歳を越えて生きられる人って心が元気な人が多い気がする。
夫の祖母は105歳で亡くなったけれど、バイタリティの塊のような人で最後まで牛肉が大好きだったし「敬老の日に物はいらない。お金を送ってくれた方が嬉しい。自分で好きな物が買えるから」と言っちうタイプだった。
100歳を越えた人の言葉や生き方は51歳の私にとって学ぶべきことが多い。そして私はまだ彼らの半分も生きていない…ってことに驚かされる。
102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方
- 「中国新聞」に“人生100年時代のモデル”として石井哲代さんに関する連載記事をまとめた作品。
- 石井哲代さんは尾道市の山あいの町で畑仕事をしながら一人暮らしをしている。
- 写真と共に「生き方上手になる五つの心得」「私らしくいるための五カ条」「おいしい長生きレシピ」などを紹介。
感想
読後に元気が出るような素敵な1冊だった。まぁ表紙を見ただけでも「とりあえず悪い本じゃないよね」って事は予想できるのだけど、予想以上に良かったと言うか予想外の内容だったと言うか。
田舎暮らしで102歳。「ひとり暮らしのおばあちゃん…と聞くと農家の嫁で子だくさんで子や孫に囲まれて暮らしている人なんでしょう?と」と思っていたのだけど、私の予想とは全く違っていた。
哲代さんは結婚こそしたものの子宝に恵まれなかった。現在102歳の女性が若い頃、しかも田舎暮らしで…となると「子どもが産めない女性」がどれほど肩身の狭い思いをしたのかは簡単に想像できる。しかも哲代さんは50代半ばまで小学校教師として働いていて、考え方が今風と言うか「昔の田舎の価値感を持った女性」とは少し違う感じだった。
子どものいない夫婦だったものの、亡くなったご主人とは仲が良かったらしくご主人の話題が沢山登場する。「子はかすがい」なんて言葉があるけれど、子がいてもいなくても仲良くやっていけるのが本当の夫婦だと思う。
感心させられたのは哲代さんが老人クラブ(婦人会?)的なものを作って、地域の人達との絆を大切にしていた…ってこと。最近はPTAにしても町内会にしても「そんな物は無駄」と切り捨てていく傾向が強いけれど「人の輪の中で生きる」って、とっても重要なことだと思うのだ。
人は1人では生きていけない。もちろん人の輪の中で生きることは良い事ばかりではなくてストレスだってある訳だけど、それでもなお「助け合って生きる」って必要だと思う。私自身、年を重ねるごとに「色んな人に助けてもらっている」という感覚が強くなってきているので、哲代さんの生き方に共感するところが多かった。
御長寿の高齢者をテーマにすると「健康法」とか「元気な毎日」とか「笑顔の絶えない秘訣」みたいなところがメインになりがちだけど『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』では子どもいない哲代さんの心細さや寂しい気持ちもしっかり描かれているところ素敵だった。
哲代さんのように生きるのは簡単なことではないけれど、哲代さんの生き方からは学ぶべきところが多く、読後に背筋が伸びるたような…なんだか元気を貰ったような気がした1冊だった。