仕事(医療型児童発達支援センターで)で障がい児福祉に携わっていると「親亡き後の子どものこと」についての話を聞く事が多い。
障がい児や障がい者と言っても障害の度合いも彼らを取り巻く状況も千差万別なので十把一絡げでどうのこうの言える話ではない。
- 本人の障がい
- 親の経済力(財産)
- 兄弟の有無
- 居住地によるサービス格差
- 成年後見制度の利用の有無
財産がある場合、兄弟だったり成年後見制度を利用するなどして、子の将来に備える事になると思うのだけど「残してやれるような財産がない場合はどうなるの?」と悲観的な気持ちになってしまう人も多いと思う。
先日、生活保護のケースワーカーをしている親友のFとお茶してきたのだけど「親亡き後」についての話をしてくれた。例え心身に障がいがあって、親がその子に財産を残せなかったとしても安心して欲しい。
何らかの形で福祉に繋がっている場合、障がいを持った子が野垂れ死ぬ事は無い。嬉しい話ではないけれど、生活保護受給者の中で何らかの障がいを持った人は案外多い。障害が重くて自分で動けなくても、手続き等が出来なくても、公的機関に繋がっていれば役所がどうにかしてくれる。
Fが言うには「正直、絶望しなくてもどうにでもなる。だけど役所側から言わせてもらうと家屋敷は手続きを進めていく上で邪魔でしかない。僅かでも何か残してあげたいなら形あるものではなく現金(預貯金)にして欲しい」とのことだった。
生活保護は財産が無いと受給できない。
財産がある人は処分して生活費にして貯金がある人は貯金を崩して生活費して「売る物も貯金もありません」と言う状況にならないと話が進まないのだ。
「お金も助けてくれる人も無くて家も亡くなった障がい者がどうやって生きていくの?」って話だけど、それをどうにかするのが役所のお仕事。実際、Fも親亡き後にグループホームで生活されている人を担当しているし、お役所と言うところはそれ相応のルートを確保している。
また「サポートがあれば1人暮らしができる」と言う場合は身体・知的を問わずに支援を受けることができる。例えば…だけど「知的障害があってお金の管理ができない」なんてことになっても適切な支援事業が用意されている。
……なので「親亡き後」に子に残せる財産があって成年後見制度を利用したり出来る人は利用すれば良いのだけれど、もし「財産も頼れる人もいない」なんて場合でも絶望しないで欲しい。
必要なのは公的機関(福祉サービス)と繋がっておくこと。
自分や家族だけでどうにかしようとせず公的機関をどんどん利用して欲しい。これは障害福祉だけでなく高齢者福祉についても同じことが言える。
「恥の文化」を持つ日本人はどうしても「自分のことは自分でやるべき」「家族の問題は家族で解決するべき」と言う考えに縛られがちだけど「公的機関を頼る」ってことを忘れないで戴きたい。
今の日本の福祉制度が未来永劫保証されるとは限らないけれど、少なくともある日突然消滅してしまう…なんて事は無いだろう。
「公的機関に頼って欲しい。それは当たり前の権利だから上手に利用して欲しい。まぁ…どうしても子どもに何か残したいなら不動産じゃなくて現金でお願いしたい!」と親友のF。
一般人の私がここに書き残したとろこで影響力は無いんだけど、必要とする誰かが読んでくれたら良いな~ってことで書き残しておく。
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