心待ちにしていた『バッテリー』の続編が文庫化されていたので、早速、手にとってみた。
『バッテリー』で受けた感動を思えば、ちょっとパワーダウンな感じではあったが、それなりに面白く読めた。
バッテリーⅡ
「育ててもらわなくてもいい。誰かの力を借りなくても、おれは最高のピッチャーになる。信じているのは自分の力だ――」中学生になり野球部に入部した巧と豪。
2人を待っていたのは監督の徹底管理の下、流れ作業のように部活をこなす先輩部員達だった。監督に歯向かう巧に対し、周囲は不満を募らせていく。
そしてついに、ある事件が起きて……!
アマゾンより引用
感想
今回は「俺様を中心に地球は回っている」と思っている主人公、巧が、ちょっと痛い目に合うところが、とても良かった。
何もかも上手くいく物語なんてツマラナイ。ちょっとは試練もなくてはなぁ。
もっとも、痛い目にあったところで巧の「俺様気質」は全く変わっちゃいないのだけど。そのへんの頑なさは天晴れといえよう。
自分の中では大きな理想があったとしても「現実」ってのは、なかなかシビアであり、その辺の葛藤が今回のメインだったと思われる。
大人達の思惑も理解できるし、巧の主張もよく分かる。大人の現実は正論だが、ちょっと卑怯。巧の理想は素晴らしいけど、ちょっと甘い。
現実派と理想派が真っ向からぶつかっているのは素晴らしいと思った。これから、どういう風に展開していくのか、先が楽しみである。
そして今回も私の心を鷲掴みにしたのは主人公の巧ではなくて、主人公の女房役、キャッチーの豪君である。
「酸いも甘いも噛み分けた」オヤジではあるまいに、気配り出来すぎの豪君が不憫でならない。そんなに気配りばかりしていると、頭はげるよ……と、豪君の頭髪の心配をしてしまった。
出来すぎな子供ではあるけれど、実際にいるんだよなぁ。こういう役回りの人って。
ハードカバーではまだまだ続編が出ているのだけれど、私は文庫買い派なので、ぜひとも最後まで文庫化して欲しいと切望する。
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