『パンターニ 海賊と呼ばれたサイクリスト』は2014年に公開されたドキュメンタリー映画。
「ツール・ド・フランス」「ジロ・デ・イタリア」の両大会で総合優勝を成し遂げたパンターニと彼にまつわるドーピングスキャンダルを追った作品。自転車レース好きにはオススメ出来るけれど、自転車レースに興味の無い人が観て面白いかどうかは謎。
私は超文化系人間だけど自転車レースはそこそこ視聴するので面白く感じた。
パンターニ 海賊と呼ばれたサイクリスト
パンターニ 海賊と呼ばれたサイクリスト | |
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監督 | ジェイムス・エルスキン |
主演 | マルコ・パンターニ グレッグ・レモン ブラッドリー・ウィギンスブ ランス・アームストロング |
音楽 | ローン・パルフェ |
公開
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2014年 イギリス |
ざっくりとこんな内容
ファンから「イル・ピラータ(海賊)」と呼ばれたイタリア出身のプロロードレース選手で、没後も絶大な人気を誇るサイクリスト、マルコ・パンターニの生涯を追ったドキュメンタリー作品。
マルコ・パンターニは1998年、世界的な自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」「ジロ・デ・イタリア」の両大会で総合優勝という偉業を成し得たサイクリスト。
世界中から賞賛を浴びたパンターニだったが、当時のロードレース界に吹き荒れていたドーピングスキャンダルの嵐に巻き込まれてしまう。
2004年にイタリアの安宿の一室で生涯を閉じたマルコ・パンターニの真実が語られていく。
ビアンキ大人気の立役者
コロナ禍に突入してからと言うもの、ピチピチのウェアを着てロードバイクで走るサイクリストの姿がやたら増えた。
サイクリスト達の乗っている自転車は色々なメーカーがあるものの、40代以上の男性の場合はビアンキ率がやたら高い。『パンターニ 海賊と呼ばれたサイクリスト』の主人公であるマルコ・パンターニに熱狂した世代がビアンキに乗っているのかな…と思う。
『パンターニ 海賊と呼ばれたサイクリスト』はドキュメンタリー映画なので、本人がレースをしている映像が沢山流れてるくのだけれど、確かにあの水色と黄色の自転車で坂道を下るパンターニは男前が過ぎる。
……ただのハゲじゃない。
私は現世で1番カッコイイハゲは全盛期のジャン・レノであると信じて疑わないけれど、マルコ・パンターニは2番目にカッコイイハゲだと思う。
あれは当時の自転車男子達が痺れるのも当たり前ですわ!
自転車小僧が大人になった
さて。自転車超人のマルコ・パンターニ。母性本能をくすぐるような人でグッときた。
自転車小僧がそのまま大人になったようで、インタビューを聞いてても清々しくてとても良い。年を重ねてもずっと自転車大好きで負けず嫌いな小学生男子…って感じ。
負けず嫌いな自転車小僧は大人になって努力する自転車オジサンになっていく。
「夢はきっと叶う」とか「努力すれば何でもできる」と言うけれど、そもそも凡人は努力し続けることができないのだ。
マルコ・パンターニがどれだけ才能に溢れた努力家であるかが伝わってくる作品だった。
ドーピングとマフィアの闇
『パンターニ 海賊と呼ばれたサイクリスト』の前半は「マルコ・パンターニがどうやってスターダストに駆け上がったか?」ってところにポイントが置かれているので観ていて楽しいのだけど、後半のドーピング問題が出てきてからは、ずっと辛いターン。
ドーピング問題については自転車レース業界だけでなく、スポーツ界隈についてまわる。もちろん「良い・悪い」で言うと「悪い」としか言えないし、選手の身体に負担をかけることが分かっているだけに絶対にやっちゃ駄目なところ。
だけど「ドーピングしてでも勝利を得る」ことを良しとする人達がいて、そこには多額の金銭が絡んでくる。
ドーピングはドーピングをした選手だけが悪い訳でなはくて、ドーピングがはびこる界隈の問題なのだけど、パンターニは自転車界のヒーローなのでその分の風当たりも強かった。
パンターニは苦しさから逃れるために麻薬に溺れていく。「どうして、そんな簡単にクスリが手に入ってしまうの?」って話だけど、そこはイタリアなのでお察し。
イタリアと言えばマフィア!
「大きな興行の背景にヤクザがいる」って話はどこにでもある話。自転車レースも例外ではないんだろうな…ってこと。ただし『パンターニ 海賊と呼ばれたサイクリスト』の中では、流石にふんわりと匂わせている程度になっている。
真実は闇の中……
『パンターニ 海賊と呼ばれたサイクリスト』の中では「パンターニはハメられたのではないか?」って説が取り上げられているけれど、真実は闇の中。
ただドーピングに関してはパンターニ云々の問題ではなくて、もっと大きな視点で考えていく必要があると思う。
自転車小僧がそのまま大人になったような人がクスリに溺れて早死してしまうなんて、あまりにも哀し過ぎる。
『パンターニ 海賊と呼ばれたサイクリスト』はドキュメンタリー作品なので、良いだの悪いだのと言うタイプの作品ではないけれど、私は観て良かったな…と思った。