『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』はスティーブン・キング原作のホラー映画。そしてホラー映画でもありながら少年と少女の青春成長映画でもある。
『スタンド・バイ・ミー』が好きな人ならハマるかも知れないし、ただ怖いだけではなく感動する場面もある。
……とは言うものの、やっぱりホラー映画なので怖いのが苦手な人にはオススメ出来ない。
今回ネタバレ込の感想なのでネタバレNGの方はご遠慮ください。
IT/イット “それ”が見えたら、終わり。
ざっくりとこんな内容
あらすじを紹介する前にまずは人物紹介から。
ルーザーズクラブ(負け犬クラブ)のメンバー
- ビル・デンブロウ 吃音の少年。「負け犬(LOSERS)クラブ」のリーダー。弟のジョージーが雨の日に行方不明になっている。
- ベン・ハンスコム 転校してきたばかりの太った少年。街の秘密を調べている。
- リッチー・トージア ビルの親友。眼鏡をかけている。
- ベバリー・マーシュ いじめを受けている大人びた少女。父親から性的暴行を受けている。
- スタンリー・ユリス ユダヤ系の少年。ユダヤ司祭の息子の息子で臆病な性格。
- マイク・ハンロン アフリカ系の少年。屠殺業の見習い修行中。
- エディ・カスプブラク 喘息持ちの少年。過干渉の母親に行動を縛られている。
ペニーワイズ 子供たちにしか見えない不気味なピエロ
ある雨の日。アメリカ・メイン州の小さな町、デリーで悲劇が起こる。風邪を引いて寝込んでいた13才の少年ビルは、7才の弟ジョージーに紙のボートを作る。
大喜びしたジョージーは黄色いレインコートを着込み、ボートを持って雨の中、外へと飛び出して行く。ジョージーが水たまりの上に浮かべたボートは、雨風の勢いを受けて滑るようにみ、排水溝の中にへ。
慌てたジョージーが排水溝を覗き込むと、暗闇の中に浮かび上がったのは二つの目玉。それは“ペニーワイズ”と名乗るピエロだった。
ペニーワイズはジョージーに「ボートを返してほしければ手をお出し」と言い、ジョージーが手を伸ばした途端、恐ろしい形相に変貌したペニーワイズがジョージーの腕を食いちぎり、ジョージーはそのまま排水溝の中へと引きずり込まてしまう。
弟ジョージーの失踪から立ち直れないまま、ビルは夏休みを迎える。ビルは仲良しの4人組ルーザーズクラブ」で行動することが多かったが、大人しめの4人は学校1の不良グループに絡まれことが多かった。
不良グループに対峙していくうち、4人だった仲間に転校生のベン、赤毛の少女ベバリー、黒人のマイクが加わることになる。いつしかルーザーズクラブは固い絆で結ばれようになっていった。
転校生のビルは夏休みの自由研究で街の歴史を調べているうちに、デリーでは27年ごとに大きな不幸が起こっていることを突き止め。今はまさにその時期で、デリーではビルの弟のジョージー以外にも多くの子どもが行方不明になっていた。
そしてルーザーズクラブの仲間達の身にも次々と不思議なことが起こる……
子ども達が失踪場所は下水道とつながっていて、その下水道は町外れにある古い井戸の家に繋がっていることを突き止めたルーザーズは、町外れにある古い井戸の家に行くのだがが……
理不尽ホラーのお手本のような
ホラー映画を観るたびに私はいつも思ってしまう「ホラー映画って理不尽だよね」と。
ホラー映画の登場人物って、特に何も悪いことをしていないのに、唐突に襲われて酷い目に合わされて、挙げ句の果に殺されたりする。
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の場合、最初の犠牲者となってジョージーなどはホラー映画の典型的犠牲者。何1つ悪いことをしていないのに、突然襲われて殺されるとか理不尽の極み。だけど「ホラー映画のお約束だから仕方ないよね」と言ってしまえばそれまでの話。
ホラー映画と言っても色々なタイプの作品があるけれど『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の場合は犠牲者が全員、子どもであることがキツイ。
そりゃあ人間だもの。誰しも欠点はあるだろうけど「襲われて殺される筋合いは無いだろ?」って思ってしまう。「それが嫌ならホラー映画観るなよ」って話だけど、ホラー映画を観て後で、あーだこーだ言うのが好きなのが辛いところだ。
ペニーワイズ怖過ぎ問題
さて。子ども達が立ち向かう敵ペニーワイズ。とにかく怖い。
ペニーワイズはアメリカで実在した殺人犯ジョン・ゲイシーとがモデルとされている。
実物ジョン・ゲイシーは殺人ピエロ)と呼ばれ、1972年から1978年の間に33人もの少年を殺害。平時にはピエロの扮装をしてパーティに参加していたことが多かったとのことで、そのあたりのエピソードから着想を得たキャラクターらしい。
それにしてもピエロの怖さってのは、なんか伝わるものがある。白く塗っぬ顔に赤い唇と赤い髪。赤は血を連想させるせいか、明るさだけでなく恐怖を象区させるのにもってこいの色なのだなぁ。
あまり盛大なネタバレをしたくないのだけれど、超絶に怖いペニーワイズだけど、実はちゃんと弱点を持っている。ペニーワイズはリアル殺人鬼ではなくて、概念と言うか妄想の存在に近い。
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』でルーザーズクラブの仲間達はペニーワイズと対峙して生き残るのだけど、それは彼らがペニーワイズの力を上回ったから。
ただし残念なことに作品中で分かりやすい結末にはなっておらず、ラストはペニーワイズが復活する可能性を残して終わっている。(ちなみに続編が作られている)
スタンド・バイ・ミー的な
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』はホラー映画であると同時に、子ども達の成長と友情を描いた作品でもある。
ルーザーズクラブの仲間達はそれぞれ弱くて、いじめられっ子。1人1人は決して強くないのだけれど、仲間達と共に行動することで成長して強くなっていく。
ペニーワイズとの戦いで彼らが死ななかったのも、成長の証だった。
それぞれが成長して立ち向かっていく姿は大人目線で観るとグッとくるものがあった。
続編に続く……
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は残念ながら「俺達の戦いはこれからだ」とばかりのオレタタエンドになっている。
ラストで「27年後、ペニーワイズが復活したら戻ってこよう」とルーザーズクラブの仲間達は血の誓いを立ててていて、実際に続編の映画が作られている。
もちろん続編も観るつもりだけど、何しろホラー映画って1本観ると草臥れるので続けて観るにはちょっとシンドイ。少し間を開けてから改めて続編を観ようと思う。