柳美里というと、とかく私生活を切り売りしている作家と評されることが多いが私生活ネタではなくて、観察ネタの短編が2編収録されていた。退職老人と、援助交際を志す女子高生の話と、小学生が集団レイプをする話。
2編ともダーク系と言うか、後味の悪いタイプの作品なのだが不思議と「そういうことってあるかも」とか「ちょっと分かるかも」とか、そんな風に感じてしまう部分があり、またそんな風に感じてしまうのが、やたらと不愉快に感じたりするような作品だった。
2編は、まったく違う要素を持った作品であり主人公のタイプも違うのだけれど、どこか似かよった匂いが感じられた。たぶん「似ている」と感じたのは、作品に流れる「孤独感」だと思う。彼女の描く世界は、乾いた孤独が支配していて理解できるのだが、目を背けたくなるような……そんな要素があるように思う。やり切れないサミシサと言い換えても良いかも知れない。ふと、私生活ネタの小説を読んだ時に孤独感を感じて、やり切れないよなう気持ちになったことを思い出してしまった。
「上手いなぁ」と思う作品だが、正直なところ私は苦手だったりする。素晴らしいと思う作品を、すべて好きになれるかと言うと、それとこれとは話が別で、反対に、たいしたことないと思っていても気に入ってしまう作品だって存在するのだが彼女の作品は私にとって「スゴイと思うけれど好きになれない」部類のようだ。刃物を突きつけられたような感じが、どうも苦手なのだ。
実際に、彼女の作品は1度読むと再読することはないのだが、それなのに新作が出ると読みたくなってしまうから不思議である。恐いもの見たさと言うべきか、本読み虫の性と言うべきか。
年齢を重ねてもトゲトゲしい作品を書ける作家さんって素晴らしいなぁ……と思った作品だったが、再読することはないと思う……などと言いつつ、これからも他の作品には手を出していくのだろうけれど。
女学生の友 柳美里 文春文庫