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ワンちゃん 楊逸 文藝春秋

芥川賞候補になった表題作と『老処女』が収録されている。楊逸の作品を読むのはこれで3冊目だけれど、今回も私好みだった。

表題作は日本人と集団見合いで結婚した女性「ワンちゃん」の物語。

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ワンちゃん

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中国人女性の「王愛勤」ことワンちゃんは、名前のとおりの働き者。女癖が悪く働かない中国人の前夫に愛想を尽かし、心機一転、日本人と見合い結婚をして、はるばる愛媛へやってきた。

家事に夫の送り迎え、病気の姑の世話と働きながら、生活力たくましいワンちゃんは、四国の独身男性を中国への「お見合いツアー」に誘うのだった──。

アマゾンより引用

感想

主人公のワンちゃんは中国で女性ながらも商売をして、そこそこ稼ぎもあったのに結婚に失敗して元夫から逃げるために日本人とお見合いをして結婚する。

ワンちゃんの生き方や人生に対する諦念は、ものごく昔風の考え方だと思う。かつて日本女性はそんな感じだったなぁ……と思わせるものがあり、女性の生き方や考え方は国境を越えて共通するものがあるのかと驚かされる。

楊逸の作品には有吉佐和子とか宮尾登美子が活躍した時代の小説を思わせるような古典的な匂いがする。色々と古い。

だけど、むしろそれが新しいと言うか。最近活躍している女性作家さん達には見られない空気があって面白い。どこまで、この路線で読ませてくれるのかは分からないけれど、期待したいところ。

併録されていた『老処女』は、真面目であるがゆえに高齢処女となってしまった中国人女性の物語。

なんかもう……心臓をワシ掴みにされるほど切ない。

いまも昔も、こういうタイプの女性って案外多いんじゃないかと思う。そして、こういうタイプの女性はその性質ゆえに前に出ることなく、リア充(現実が充実している人)達に埋もれてひっそりと生きているのだと思う。

私はいちおう結婚しているけれど、紛れもなくこのタイプの人間なので、読んでいて辛くてたまらなかった。

それにしても、楊逸の描く「女」は良い。ハッピーエンドにならなくても絶望的でないところが好きだ。

「それでも頑張って生きていくのだろうなぁ」と思わせてくれるあたりが上手いと思う。また追々と読んでいきたい。

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