前回読んだ作品がちょっと面白かったので続けてもう1冊手に取ってみた。
表題作と他2編。表題作は群像新人文学賞の優秀賞を受賞。いかにも新人賞って感じの作品だった。
表題作は主人公の女子高生が自傷癖のある家庭教師の男子学生を支配して授乳をする話。
『コイビト』はぬいぐるみを恋人として生きる少女の話。もう一編もやはり少女(女子高生の話。女子高生でお腹いっぱいになってしまった。
授乳
受験を控えた私の元にやってきた家庭教師の「先生」。
授業は週に2回。火曜に数学、金曜に英語。私を苛立たせる母と思春期の女の子を逆上させる要素を少しだけ持つ父。
その家の中で私と先生は何かを共有し、この部屋だけの特別な空気を閉じ込めたはずだった。「―ねえ、ゲームしようよ」。表題作他2編。
アマゾンより引用
感想
もしも私がこの作品を学生の時に読んだなら、それなりにハマっていたかも知れない。
言葉は悪いけれど、ものすごく中二病的。「私が考えた一風変わった特別な少女の話を読んでください」って印象。悪くはないけれど、今の私にはちょっと無理だった。
「そうかい。そうかい。そういう年頃もあるよね」と、ものすごく遠巻きに眺めてしまった感じ。
きっと作者は若い人なんだろうなぁてん…と思っていたら、私よりも7歳下の人だった。思っていたより年が近くてビックリ。
もっとも、この作品が発表されたのは2003年。もう9年も前の話なので、年齢を引き合いにするのは良くないかも知れない。
私はどちらかと言うと精神的な支配とか、無機物への愛とか、倒錯愛的なジャンルは大好物なのだけど、この作品はどうにもいただけなかった。
ゆるやかに病んでいる感じが鼻について楽しめなかったのだ。
私が求めているのは「病んでいる人の話」ではなくて「狂っている人」の話なのだと思う。
いっそ「あちら側」にいってしまった人の話なら夢中になって読めるのだけど、中途半端感がどうにもこうにも。
たぶん、ちょっとしたさじ加減が私の感性には合わないのだと思う。
「この作品はツマラナイ」と否定する気はない。
村田沙耶香の世界観にハマってしまう人もいると思う。ただ私には無理だった……ってだけの話なのだ。
村田沙耶香の作品をこれで終わりにしようとは思っていないけれど、次の作品を読むのはしばらく先になると思う。