『1Q84 BOOK1』に続けて読んでみた。
長いから仕方がないのかも知れないけれど「一気にガーッと読ませてくれぇぇ」と思ってしまう。別の話なら諦めがつくけど、前回の続きだった。
「面白い」と言えば面白いし、続きが気になる作品(どうやらまだ続きが出るらしい)なのだけど、作品の出来としてはどうかなぁ……と言う印象を受けた。
1Q84 BOOK2
心から一歩も外に出ないものごとは、この世界にはない。
心から外に出ないものごとは、そこの別の世界を作り上げていく。書き下ろし長編小説。
アマゾンより引用
感想
オウム真理教事件をモチーフにしたらしい設定や、毎度のことではあるけれどエキセントリックな登場人物は、使い古された感じがした。
ただ、流石は村上春樹。グイグイと読者を引き込んでいく吸引力は十分にあると思う。
読みやすい文章なので、長さを感じさせずにサクサクと読み進めることが出来る。
しかし決定的に良くないところが1つ。
この作品にとって最も重要ではないかと思われる天吾と青豆の関係が希薄過ぎる気がした。
私は個人的に「ずっと1人の人を想い続けて生きる」とか「報われない恋でもかまわない」とか、そういう設定は大好きなのだけど、小学生の時の小さなエピソードだけで「愛している」と突っ走られても説得力に欠ける。
むしろ、それぞれが生きてきた過程で関わってきた人と恋に落ちた方が自然ではないのかと問いただしたいこと小一時間。
「いやいや。運命の恋だから仕方がないんです」と言われてしまえば、それまでなのだけど。
あと青豆がものすごく男性的なのも気になった。見た目とか行動ではなくて「感性」の部分で。
これは、今にはじまったことではないのかも知れないけれど、村上春樹の描く女性は女らしそうでいて、中身は「男」のそれだと思う。
「いやいや、それは無いわ」と突っ込みたくなる部分が必ずあるのだ。
今までかんがえた事が無かったのだけど、村上春樹は女性を描くのが苦手な作家さんなのかも知れない。
あと何冊出るのかは知らないけれど、この作品はここでオシマイでも良いと思った。
謎は謎として残ったままだし、投げっぱなしではあるけれど、これ以上続けたら陳腐にまとまってしまいそうな予感がするのは私だけだろうか。
続きを読むのが少し怖い。でも、間違いなく続きは読むだろうし、読んだら感想を書きたいと思う。(1Q84 BOOK3の感想はこちら)