数年前、本屋大賞だの映画化だので話題になっていたと思うのだけど今さながら読んでみた。
なんだろう……この読後感。ものすごくイライラする。気持ち的に下がっている時に読むべき本ではなかったのかも。
ラノベ的なノリのある読みやすい文章なのでサクサク一気読みした。
面白くない訳ではなかったのだけど、登場人物に誰一人共感することが出来なかったし、作者の湊かなえが書きたいことが理解出来なかった。
告白
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。
語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作
アマゾンより引用
感想
湊かなえは『告白』で人間の残酷さを書きたかったのか、それとも新しい切り口で読者をビックリさせたかったのか?
ミステリー系の作品はほとんど読まないので偉そうには言えないのだけど、珍しい切り口の作品だとは思った。
改めてここに書く事ではないのだけど、私は基本的に「殺人事件」が好きではないのだと思う。
殺人事件が登場人物達の人生に上手く食い込んでいる場合は読み物として消化出来るのだけど、そうでない場合はただ不愉快なだけ。
この作品では、殺された被害者は可哀想だと思ったのだけど、登場人物達の誰にも気持ちを寄り添わせることが出来なかった。
私は被害者になった幼児と同じ年頃の娘を育てているのだけど、被害者の母親の気持ちに添うことが出来なかったし、同情も出来なかった。(もちろん被害者は可哀想だと思ったけれど)
登場人物達はみなそれぞれ年齢も性別も違うのだけど、彼らは皆それぞれに自分の言い分を通そうとするばかりで、他者への配慮や思いやりがみられなかった。
そして肝心の本筋には救いがなく負の連鎖の果てに待っている物は不幸しかない……というラストは読後感最悪だった。
日本では十数年、少年法で裁けない凶悪な事件が立て続けに起こっているので、それを彷彿とさせる作品があるのは理解できる。
でも、それを作品にどう消化していくかが作家の仕事だと思う。作者はこの作品で何を書きたかったのか。私には理解できそうにない。
読みやすい文章でドラマ性は高いと思うけれど、好きになれない作品だった。