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高熱隧道 吉村昭 新潮文庫

久しぶりに手に汗握り、心を熱くして読んだ作品だった。黒部渓谷にトンネルを作った男達の物語。黙々と戦う男達の姿が、身悶えするほど良かった。実際の出来事をアレンジして書かれたもので、ジャンル的には記録文学になるとのこと。

一般的に仕事とは、生きるための手段であって目的ではないと思う。だけど極まれに「仕事に取り憑かれる人……ってのも存在する。「困難が大きければ大きいほど燃え上がってしまう」ってな体質だったりしたら大変。今も昔も「仕事馬鹿一代」みたいな人は、沢山いて、そんな人達が世の中を作ってきたのだろうなぁ……と思う。

「対自然」との闘いも面白かったけれど「技術者と現場の人間の葛藤と溝」が上手く描かれていて興味深かった。私自身、現場を指揮する側から仕事をしていて、現場の作業員さんと越え難い溝のようなものを感じることが多いので、ラストの持って行きかたは、ものすごく納得してしまった。

物語の最中、人間がボロ屑のように死んでいくのだけど、豊かな生活ってのは人間の死の上に成り立っている……ってことを、今更ながらに思ってみたりした。この小説のような工事現場云々だけでなく、事務系の仕事をしている人で過労死した人だって社会の反映の礎になっている訳で。どんな仕事でもそうだと思うけど「働く」って事は、つくづく厳しい。のらくら遊んで暮らせたら、どんなに愉快なことだろう…と思う反面、働くからこそ得られる喜びもあるのも事実である。

やはり作者の書く、この手の作品はいいなぁ……と思った1冊だった。

高熱隧道 吉村昭 新潮文庫
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白い木蓮の花の下で
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