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血と聖 坂東眞砂子 角川書店

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物語の舞台はルネサンス期のイタリア。

裕福な家の我がまま娘と若き修道士の恋だの、奇跡の力を持つ囚われの修道士だの、面白そうなエピソードが山盛りの物語で、実際のところ面白かった。

修道士との恋…なんていうと、プラトニックを想像しがちだけれど、女のエロスを描かせれば天下一品の作者だけあって、ちゃんと実質的な肉欲を伴った恋だった。

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血と聖

中世イタリアの田舎町チェネダ。ヴェネツィア出身の豪商の娘タミラは、霊的な力を持つというドナート神父の噂を聞き教会を訪ねるが、そこで修道士アルノルフォと出逢い2人は禁断の恋に堕ちてゆく。

愛欲と信仰との間で苦悩するアルノルフォ。一途に彼を追い求めるタミラ。しかしドナート神父の驚くべき奇蹟を目の当たりにしたアルノルフォは…。

中世イタリアを舞台に繰り広げられる禁断の愛。

アマゾンより引用

感想

サクサク読めたし、ドラマティックだったし、ちょっとばかしエロティックで面白い読み物だったのだけど、いまいち「グイッ」っと来るものが無かった。

宗教的な話なのに、宗教的素養が低すぎたせいだろうか?

海外小説のガッツリした宗教ものだと、キリスト教を知らない日本人にとっては、難解過ぎてお手上げなんて事が多いのだけど、簡単にすればそれで良い……ってものでもないらしい。

ヒロインの侍女にシャーマン的と言うか、巫女的と言うか、ちょっと日本の自然神信仰に似た立場の女性が登場する。

面白いとは思ったものの、物語から浮いていた感は否めなかった。ヨーロッパにも、自然信仰のようなものはあるのだけれど、この小説に書かれていたのは、泥臭い日本的なものだったので。

面白いながらも、物足りなさ全開の作品の中で、いっとう驚いたのは坂東眞理子が現在、タヒチに住んでいるという事実だった。

作品には何の関係もないのだけれど。坂東眞理子と言えば「四国とイタリアの小説を書く人」というイメージがあったので、四国の田舎かイアリアのフィレンツェあたりで暮らしているとばかり思い込んでいた。

タヒチか……それもいいなぁ。『月と六ペンス』の舞台を観に行きたいものだ。

そんな訳で面白いながらも、いまひとつパッっとしない1冊だった。

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