前知識無しの状態で、なんとなくケーブルテレビ録画したのを視聴した。
……とは言うものの流石に「題名からして感動する系のハートフル映画なんだろうなぁ」くらいの予想はあった。
そして予想は見事的中…と言うか、予想以上に感動作だった。
「はじめてのおつかい」とか、そういうのが好きな人ならツボにハマると思う。
ヴィンセントが教えてくれたこと
ヴィンセントが教えてくれたこと | |
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St. Vincent | |
監督 | セオドア・メルフィ |
脚本 | セオドア・メルフィ |
製作 | ピーター・チャーニン セオドア・メルフィ フレッド・ルース ジェンノ・トッピング |
製作総指揮 | G・マック・ブラウン ドン・チードル ケイ・リバーマン ディラン・セラーズ キャスリン・チュース=アデイル |
出演者 | ビル・マーレイ メリッサ・マッカーシー ジェイデン・リーバハー ナオミ・ワッツ クリス・オダウド |
音楽 | セオドア・シャピロ |
あらすじ
主人公は1日中、競馬場で過ごすという生活を送っている老人、ヴィンセント・マッケンナ。
ヴィンセントはペルシャ猫と共に住む自宅を担保に銀行から借金をして暮らしていた。
ヴィンセントの自宅の隣に、別の女性と浮気した夫に愛想を尽かしてシングルマザーとなったマギーとその息子オリヴァーが引っ越してくる。
オリヴァーは、転校早々、いじめっ子に目をつけられて、財布や家の鍵、スマホなどの荷物を盗られてします。下校したオリヴァーが家に入れずに困っていたとき、ヴィンセントが帰宅してきたため彼に話しかけ電話を貸してもらえないか頼む。
嫌々ながら電話を貸したヴィンセントは、医療技術者として多忙なマギーから帰るまでオリヴァーを預かって欲しいと頼まれ、オリヴァーのベビーシッターを引き受ける。
頑固で偏屈者のヴィンセントだったが、何故かオリヴァーと気が合った。オリヴァーはヴィンセントからいじめっ子との戦い方を教えてもらったり、認知症で施設で暮らしているヴィンセントの妻に会ったりする。
ヴィンセントと打ち解けたオリヴァーは、マギーの留守中、ヴィンセントに連れられて競馬場やバーへ行き今までにない楽しい経験を重ねていく。楽しい毎日が過ぎていくように思っていたが、ヴィンセントは妻の療養費を滞納して、施設から退去するよう連絡を受ける。
一方、オリヴァーの母のマギーは元夫のデヴィッドからオリヴァーの親権を争い裁判を起こされ、家庭裁判所に召集されることになる。
感想
『ヴィンセントが教えてくれたこと』は要するに子どもが偏屈な老人(大人)の心を解きほぐしていく物語だ。『ハイジ』とか『小公子』とか『赤毛のアン』とか『少女パレアナ』なんかと同じ系列。
子どもが大人の心を変え「偏屈だけど実は良い人」って設定の大人の良いところを吸収して子どもが成長していく物語は世界的に愛されている黄金パターン。「これやっときゃ間違いないだろ」的なところではある。
ヴィンセントは実に食えないジジイで、そこが実に良かった。実際に付き合うとなると迷惑だろうと思うのだけど、遠くから眺めている分には本当に楽しい。
そしてオリヴァー少年の可愛さである。子役の演技で持ってくのはズルいよなぁ~と思うのだけど、可愛いから許せてしまう。
弱虫だったオリヴァーがヴィンセントに感化されて強くなり、友達を得るくだりは最高に良かった。
『ヴィンセントが教えてくれたこと』は子どもが偏屈な老人(大人)の心を解きほぐしていく物語…と最初に書いてみたものの、実のところヴィンセントは表立って変わったりはしないところが良かった。
ただ、彼の心の揺れは充分に伝わってくる作りになっている。そうでなければ赤の他人の子どもと一緒には過ごせなかっただろう。
おおむねコメディタッチで進んでいくのだけど、ラストだけは感動的に仕上がっていた。
ネタバレを避けたいので詳細なことは書かないけれど、オリヴァーは学校の発表会の壇上でヴィンセントについて語る場面がある。
……あれはアカン。子どもからあんな風に言われたら、大人は絶対に泣いてしまう。
オリヴァーの気持ちはヴィンセントに伝わったと思うのだけど、それでもヴィンセントはヴィンセントのままで、以降も気ままな生活が続いていくのだと思う。
子どもが偏屈な老人(大人)の心を解きほぐしていく系の物語って、どうしても老人(大人)がそれまでとは別人レベルで変わっちゃうことが多いのだけど『ヴィンセントが教えてくれたこと』はそうじゃなかったところを評価したい。
素直に楽しめる良いアメリカ映画だと思った。