文庫本なのに1冊1000円、しかも上下2冊組の長編だった。
ハード・カバーが出版された時から読みたいと思っていたのが、やっとこ、さっとこ文庫化されたので、張り切って挑んだ。
私は世代的にはに吉屋信子には馴染みがないのだけれど、私が夢中になって読み漁った女性作家さん方が少女の頃、夢中になって読んだ女性作家、吉屋信子については以前から興味があったので、どうしても読んでおきたかったのた。
ゆめはるか吉屋信子
『花物語』から『女人平家』まで、大正・昭和と多くの読者を獲得しながら、時代と社会的偏見にさらされ続けた吉屋信子の初の本格的評伝。
竹久夢二に促されて上京した信子は、生涯の伴侶、門馬千代と出会い、パリ遊学を経て、鋭い直感と洞察力に恵まれた才能を、ますます花開かせてゆく―。
アマゾンより引用
感想
長かった……読んでも、読んでも先が見えないくらいに長かった。
小説というよりも、むしろ伝記とか研究本といったノリの作品で「本当に必要なエピソードだろうか?」とて首を傾げてしまうようなエピソードが多くて、うんざりしてしまった。
田辺聖子の思い入れが強すぎたのだろうか?
吉屋信子のファンなら読めるかも知れないエピソードも彼女のことを知らない読書人が読むのは辛い作業でしかなかった。
うむむむ。点数を付けるとすると、これは、かなり低い。
読み物として、あまりにも読者への配慮がなさ過ぎるのではあるまいか?読ませる作家、田辺聖子とは思えないような料理の仕方だと思った。
ただ、吉屋信子という人の人生には、とても好感が持てた。
今でこそ女性でも、元気一杯活動できる世の中になってきたけれど吉屋信子が生きてきた時代は、まだまだ男尊女卑の世の中で、そんな時代に独身で、自分の好きな仕事をして生きた女性の姿に私は同性として、清々しいものを感じずにはいられなかった。
ちょっと美化し過ぎているのでは?……と思わなくもなかったのだけれども作者がそれほどまでに入れ込んだ小説家なのだと思えばそれについては、許容範囲といった感じ。
私も彼女のように生きてゆきたいなぁ…と思ったりした。
それなりに苦労もしていたようなのだけれども田辺聖子の描いた吉屋信子は凛として人生を楽しんでいる風に思えたのだ。
それにしても長かった…と言うか長すぎる作品だった。今後、吉屋信子のことを簡潔に書いた作品が出てきたら何をおいても読みたいと思う。