久しぶりに再読してみた……と言うよりも購入してみた。
たぶん3冊目の購入。うち2冊は人にあげたり貸したりして、自分の手元から無くなってしまったのだ。
ブックオフに行ったらば、100円棚に鎮座していたので「ああ。そういや今は手元になかったな」と思い出して購入してみた次第。
それいぬ 正しい乙女になるために
“乙女の聖書(バイブル)”として語り継がれた伝説のエッセイ登場!
乙女はみんな根性ワルで、お食事より悪口が好きなもの。品性を保ちつつ、ゴージャスで貴族で孤独であれ……野ばらのエレメントがちりばめられた乙女論は、ロマンチックでお上品でクラシカルで意地悪!
映画化された『下妻物語』を正しく理解するための必修教科書的エッセイ。さあ、乙女たちよ、リボンをつけて、Vivienne Westwoodに身を包み、いざ読まん!
アマゾンより引用
感想
はじめて読んだ時も「なんて馬鹿馬鹿しいエッセイなんだろう」と思ったものだが、年数を経て読むと、馬鹿馬鹿しいを通り越して情けなかった。
嶽本野ばらの中途半端さや。ヘタレさ加減が年を経たことによって、余計に際立ってきたのだと思う。が、面白い。
嶽本野ばらの作品の中ではベスト3に入るくらい好きだ。こんな馬鹿馬鹿しいことを真剣に書いてくれるという、その心意気を私は買いたい。
嶽本野ばらは、ナルシストで、自意識過剰で、どうしようもないオッサンだが、私は彼の優しさを愛してやまないのだ。
乙女と名乗る読者達へ送る「凛と生きよ。1人を恐れるな」というメッセージは、乙女の福音とも言えるのではないだろうか。
私は嶽本野ばらの、突拍子もないエセ耽美な文章を読むにつけ、彼が痛みを知っている人なのだなぁ……ということを感じずにはいられない。
傷を負いつつ、なお強くあろうとする姿勢は好きだと思う。
私は「嶽本野ばらが好きです」と言うことができるが、本当のことを言うと、その作品が素晴らしいと思っている訳ではない。
作品に流れる優しさが気に入っているのだと思う。これで作品がヘタレでなければ、もう少し惚れられるのだがなぁ。まあ、今後も生ぬるく読んでいきたいと思う。