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六月黄 宍戸游子 講談社

上海と言えば「上海蟹」が美味しいそうだが、卵を抱える11月が旬なのだとか。

11月になると日本でも上海蟹を食べさせてくれる店があるようだが上海蟹のお膝元では、六月の蟹も美味しいとされているようだ。この時期の蟹は味噌がたっぷりで、二番目に美味しいそうだ。

どうやら、大人の味とか、通の味……らしい。

題名の「六月黄」は、味噌の詰まった六月の蟹のことである。

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六月黄

上海蟹は11月と言われるが、陽澄湖の6月の蟹は六月黄と呼ばれる素晴らしい味。

上海、蘇州、青島を舞台に、閉経を迎えた女の格別な美しさ、中国人青年との新鮮な恋のときめき、転機に立つ女の像を描く書き下ろし恋愛長編。

アマゾンより引用

作者の宍戸游子は俳優、宍戸錠の妻とのこと。中国の大連市で生まれたそうなので『六月黄』の舞台になった中国は馴染みが深い土地だったのだとう。

感想

長々と蟹の説明を書いてしまったのは本の冒頭に説明書きがあったから。私は、この説明を読んでエロティックな小説だろうとドキドキしてしまった。

美味しい食べ物は、なんだエロティックなイメージを掻き立てるものだ。そして蟹は手掴みで食べるものなので、さらにイメージが膨らむというものだ。

しかし、私の予想とは裏腹にちっともエロティックな小説ではなかった。

主人公は閉経を迎えた50歳の独身女性。仕事人ではあるがプライベートは充実してなさそうな印象。30歳で独身の私など「1人で生きるって、こういうことなのかなぁ」などと深刻になってしまうような滑り出しだった。

そんな彼女が、思い出に繋がる、ある事がキッカケで友人と中国旅行へ出掛ける。

その友人ってのは、典型的な専業主婦なのだが、これまて「結婚しても、こんな感じなんだよね」と暗くなってしまうような生きっぷり。

しかし、中国で彼女達は見つけるのである。

ものすごく劇的なことがあった……というよりもむしろ人が変わる時って、こんな感じなんだろうなぁ……と思わせるような明日、開花すると決まっていた蕾が花開くような自然さでもって変わるだ。

たぶん彼女達は「変わる要素」を内に秘めていたのだろうけれど、それでも素直な気持ちで祝福してあげたいような、そんな変わりっぷりだった。

人間も再生するのだなぁ……という清々しい気持ちで本を読み終えた。

年を取るということは、成長がとまってしまうことではないのだ。生きている限りは、少しづつ……あるいは劇的に変わることだってあるのだ。

ちょっと、上手くまとまり過ぎの感はあったけれども、気にならなかったのは主人公が若者ではなかったからだろうと思う。

そこまで頑張ってきた年輪に敬意を表して……といったところだろうか。

思いもよらず、良い本と出会えて大満足である。これだから読書は辞められないんだなぁ……と思った1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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