ホラー小説と、ミステリー小説の中間地点にあるような印象を受けた。
もっともしっくりくる括りは『世にも奇妙な物語』かも知れない。おおむね現実的に書かれているのだがオチが唐突に幻想小説なのだ。
肩透かしを喰らわされて、膝カックンって感じだった。
アウグスティヌスの聖杯
フランスの片田舎の村の教会で手に入れた古びた銀杯は、水を注ぐと不思議な映像を映し出す奇蹟の杯だった。
さらに、泥から砂金を生み出す虫、別世界への鍵。人知を超えた摩訶不思議な品々を蒐集する男の運命は…。
アマゾンより引用
感想
設定はけっこう面白いと思う。世界中から集められた不思議な品や、貴重な品を持ち寄るサロン……と言う設定は、ありきたりだが面白かった。
『なんでも鑑定団』が好きな人なら、そこそこ楽しんで読めるのではないだろうか。
品物に宿るドラマとか、ロマンには人の心をワクワクさせる作用があるように思う。
ただ少し残念だったのは、主人公のトラウマがイマイチ作品の中で輝いていなかったということ。
いっそエンターテイメントだけを前面に出した方が面白かったのではないかと思う。作者の櫻沢順はこの作品でデビューしたとのことだが、力不足の感は否めない。
作品としては面白くない部類だったが「世の中にある不思議なこと」に思いを馳せて、ワクワク出来たのには良かった。
現実は、そんな面白いことや不思議なことは、そうそう無いけど、ちょっと寄り道をしてみるのも良いよね……と思わせてくれた1冊だった。
作家名・作品名等で検索出来ます