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ヌエのいた家 小谷野敦 文藝春秋

『ヌエのいた家』は第152回芥川賞候補作。

そして小谷野敦私にとっては初挑戦の作家さん。

何の予備知識もなく「ヌエって事は……ホラーか幻想小説だよね? そろそろ夏だしホラーもいいかも」と思って手にとってみたところ、ホラーどころかガチガチの純文学だった。

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ヌエのいた家

父は惨めに死にゆく。息子はそれでも許そうとはしない

主人公はどこか箍がはずれた性格の元職人の父親を憎み軽蔑する。父は惨めに死にゆくのだった。

その憎しみの元を回想の中に探っていくと、父の姿には愛すべきところもあった。人間の負の部分を徹底した筆致で描いて、複雑な感動を呼ぶ私小説の傑作。

アマゾンより引用

感想

私小説要素の強い作品で作者の父の晩年が描かれていた。たぶん読む人によっては胸くそが悪くなると思う。

主人公は父親を心底嫌っていて題名の「ヌエ」とは父親の呼び名だった。気持ちが沈んでいる時には読まない方がいいと思う。父親への罵詈雑言が激しくて、読んでいて気分の悪くなるような言葉が延々と書き連ねてあるのだ。

特に私が感心したのはこの一文。

私は、ヌエが幸福そうなのが残念で、糞尿にまみれになって死んでくれれば良かったのに、と思った。

「酷い」のひと言に尽きる。だけど私は主人公を責める気にはなれなかった。何故なら私も主人公と同じような事を思った事があるからだ。私の場合は父親ではなくて(まあ父親も嫌いだったけれど)父方の祖母なのだけど。

父の死後、縁を切った父方の祖母が認知症になってグループホームで暮らしていると聞いた時「あんな人でもちゃんと支えてくれる人がいて国に面倒見てもらえるんだ」と驚いたと同時に「孤独死すれば良かったのに」と本気で思ったからだ。

主人公の吐いた罵詈雑言は私が祖母に対して思っていた感情そのままだと言っていい。文章化するかしないか。口に出して言うか言わないかの違いだけで、その内面は変わらない。

とは言うものの、主人公が父親の面倒を全て妻に押し付けて罵詈雑言を吐いているのには「それはどうよ?」と思ったし、品のない文章には心底うんざりさせられた。

「主人公を責める気にはなれなかった」とは書いたけれど、だからって主人公が好きになれるかと言うとそれは別の話。西村賢太も下衆い言葉を書くけれど、作者の文章には西村賢太のような茶目っ気は無くて全く好きにはなれなかった。

「親との確執」とか「特定の人間に対する憎しみ」って小説のテーマとしては定番なので、そういう意味で「今までにないタイプの作品だと言ってもいいのだけど負の感情をぶちまけただけでは作品としては弱過ぎる。

「これ、読んでみてください!」とはとても言えない作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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