我が家の隣には有名なクレーマー親子が住んでいる。
隣家は私より年上の娘さんと母親の2人暮らしで何かにつけて周囲に喧嘩を吹っかけていくスタイル。何度か警察にご登場戴いたこともある。(私が通報した訳ではない)
我が家にも「エアコンの室外機の低周波音のせいで病気になった」と突っ込んできたことがある。その時は大阪府の公害を調べる機関に入ってらったりして大変だったのだけど、とりあえず穏便に話がついた。ご近所の間で我が家はは「クレーマー親子と仲良く出来ている唯一の家族」として知られている。
隣家は毎年、節分の時に四方八方に大量の豆を撒き散らす。
はじめて隣家の豆まきに遭遇した時は「ナニコレ怖い…」と怯えたものだけど、10年以上隣で暮らしているとすっかり慣れてしまった。
そして今年はふと「隣家の豆まきの様子をビデオに撮っておこう。お隣のおばあちゃんもいつまで元気でいられるか分からないしねぇ」と思い達、自宅の中から隣家の豆まきの様子を動画に収めた。
実際は音声しか撮れていないのだけど「これも家族の思い出になるねぇ」と夫と話をした。
そして先日。
隣家の家の前に救急車が停まった。隣家の母親が倒れたらしい。「お隣のおばあちゃん大丈夫かな?」と思っていたけれど回覧板等でお葬式の通知は周ってこなかったので「入院しただけだったのかも…」と思っていた矢先、我が家にとんでもない人が訪ねてきた。
ある日、年配の男性が我が家を訪ねてくるなり名刺を差し出してきた。「こんにちは仏壇屋の○○です」と。仏壇屋に用事は無いのでセールスマンかと思っていたら「あれ?お電話くださった○○さん(隣家)ですよね?」と言う。そこではじめてピンときた。
隣家の母親は亡くなっていたのだ。
家の母親は私達夫婦の親よりも年配なので、言っちゃあなんだけど「年に不足はない」って年代。前日まで元気にしていてコロッっと亡くなってしまったので、ある意味理想的な死に方だと思う。
我が家が隣家の豆まきの様子を動画に収めた理由は「いつまで元気で豆まきしているか分からないし」ってところがあったのだけど、まさかこんなに早く豆まきが終了してしまうとは思ってもみなかった。
豆まきの事を書いた日記は「隣家の人達が来年も元気に「鬼は外。福は内」とエクストリーム豆まきを披露してくれる事を祈る。」と締めくくられている。
隣家の母親がこんなに早く亡くなってしまうとは思ってもみなかった。隣家の親子は私にとって厄介な人ではあったけれど、相手の死を望んだことは1度たりともない。
隣家の娘さん。ずっと一緒に暮らしてきた母親がいなくなってしまうなんて、寂しいろうなぁ。
それにしても私もどうして今年に限って「豆まきをビデオに撮っておこう」なんて思ってしまったのだろうなぁ。
過去に戻れるなら節分の日の私に言ってやりたい。「悪いことは言わないから、豆まきの様子を動画に撮るのはやめといた方がいいよ」と。もちろん時間を巻き戻す事なんて出来ないのだけど。
なんだかとっても複雑な気分だ。
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