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騙されかけた話を聞いて欲しい。

悪質な業者に騙されかけた話をしようと思う。

実のところ「騙されかけた」ではなく完全に騙されていて、ボッタクリ価格で商品を売りつけられている。商品を返品して返金に応じてもらったので、実質的な被害は無かったけれど、ショックな出来事だった。

失敗談として読んで戴きたい。

結婚して12年。家で使っている包丁は結婚祝に戴いた物を使っている。包丁研ぎは自分ではやっていなくて、定期的にプロの研ぎ屋さんにお願いしている。

結婚当初は実店舗のある個人の研ぎ屋さんにお願いしていた。

元々は東大阪で職人として働いていたと言うジイサンの経営する店で、包丁を持っていくと「新幹線の先のカーブのところを作ってたんはワシやで。あのカーブは誰にでも出来るもんやない」なんて言う昔話を聞きながら、包丁が研がれるのをいつも横で見せてもらっていた。

ジイサンは職人を引退してから研ぎ屋をはじめたそうだけど、ジイサンに研いでもらった包丁は神懸かってよく切れた。

しかし、ジイサンの店はいつの間にか閉められていた。閉店の張り紙も何もなく突然の別れだった。

ジイサンの店が閉まって以降、ミスターミニット的なところの研ぎ屋さんとか、軽トラで周ってくる研ぎ屋さんに包丁研ぎに出しているけれど、あのジイサンほど腕の良い研ぎ屋に出会った事がない。

ところが先日、ジイサンの店が営業を再開していることを知った。

ジイサンが復帰したのか、そうじゃなくても跡継ぎがいたのか?

私は嬉々として、ジイサンのいた研ぎ屋さんに包丁を持って行った。

しかし、店にいたのはジイサンではなかった。年齢的にはジイサンの息子くらいだろうか。研ぎの値段はジイサンが出していた値段と同じだったし、研ぎ屋には違いないので包丁をお願いした。

研ぎ師は包丁を見て「かなり使い込んでいますよね?」と言った。

実際、何度となく研ぎに出しているし、ここ数年は研ぎに出しても切れ味が持たなくってきている。

包丁には寿命が無いと言われているけれど、私が使っているのは鉄の包丁ではなくステンレス製なので、ちょっと話が違うのかも知れない。そして私自身、包丁が研いで相当小さくなってるのは自覚している。

「包丁の替え時ってあるんですか?」と研ぎ師に尋ねると「あまり小さくなり過ぎると使っていても危ないので、買い替えを考えても良いかも知れないですね」と言いながら、店の奥から包丁を出してきた。「うちでも、いくつか扱っていますよ」的な感じで。

今の包丁には限界を感じていて、研ぎに出してもすぐに切れ味が悪くなるので「そろそろ包丁買い替えようかな」と思っていたので、研ぎ師の勧める包丁を買ってみることにした。

たぶん通販で買う方が安いのだろうけど「新しい包丁が欲しい」と思っている私の背中を押してくれた…って事もあったし、あのジイサンの跡継ぎが勧める包丁なら間違いないだろう…って気持ちもあった。

勧められた包丁は関虎徹V金10号。値段は9000円だった。

包丁を買うにしても古い包丁を捨てる気にはならなかったので、古い包丁を研ぎに出し、新しい包丁を持って一旦帰宅。研ぎに出した包丁は1時間後に取りに行くことになった。

帰宅した私は「刃物のプロの研ぎ師が勧めてくれた包丁の評判はどんなものかな」とグーグルで「関虎徹V金10号」について調べてみた。

……なんと。

「関虎徹V金10号」はアマゾンでは5400円で販売していた。

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通販と実店舗で価格の差があるのは承知の上で買ったけれど、5400円と9000円ではあまりにも差があり過ぎる。

しかし。お人好しの私は考えた。

「もしかしたらアマゾンに卸しているのは廉価版なのかも知れない。まさか地元で店を構えて商売している人がボッタクリ価格で売りつける訳ないでしょ?」と思いつつ、念のためメーカーに電話をして事実確認をしてみた。

  • 関虎徹V金10号は1種類しか作っていません(廉価版は存在しない)
  • 小売はしておらずアマゾンにしか卸していません
  • 弊社の希望小売価格は5400円です(キリッ!)

要するにジイサンの跡継ぎの研ぎ師はアマゾンで『関虎徹V金10号』を5400円で購入して9000円で売りつける転売屋だっのだ。

……騙された私が悪いと言えば悪い。

まだ未使用なので返品出来るだろうと言うことで、購入した『関虎徹V金10号』を持って研ぎに出した包丁を引き取りに行った。

腹立たしかったし、文句の1つでも言ってやりたかったけれど、残念ながら包丁を預ける時に連絡先として電話番号を記載している。後々、厄介な事があっても嫌なので「返品&返金に応じてもらうだけで良し」って方針で挑むことにした。

万が一、研ぎ師が難癖をつけてきた時のために「関虎徹V金10号」のメーカーとの話は録音してある。

満面の笑みでもって「お願いした包丁を取りに来ました~」と包丁を回収。その後「あの…先ほどの包丁、返品させてもらって良いですか?アマゾンで安いの見つけちゃったんですよね」と切り出した。

研ぎ師は「分かりました。じゃあ、返金しますね」とアッサリ返金に応じてくれた。とりあえずお金を取り戻す事が出来たのはラッキーだった。

ちなみに。

研ぎに出した包丁はありえないレベルで小さくなって戻ってきた。さぞや念入りに研いでくれたのかと思いきや、最近お願いしている研ぎ屋よりも切れ味が悪かった。

今回、私がアッサリと騙されてしまったのは「神懸って素晴らしい腕を持つ研ぎ師のジイサンの跡継ぎ」と言うことで油断していたのが原因。本当に迂闊だった。

そして私は改めてアマゾンで『関虎徹V金10号』を購入した。巷の評判も良さそうだし、電話で問い合わせた時の対応が良かったので、これも何かの縁かな…ってことで。

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アマゾンで買った5400円の『関虎徹V金10号』は噂通りの良い包丁だった。家庭用の包丁として使うなら充分だと思う。

46年生きてきて、ボッタクリ価格で物を買いそうになったのは初めての経験。

かなりショックだったけれど良い経験だった。これからは「私は騙されやすい人間なのだ」と言う自覚を持って生きていきたいと思う。

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日記
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白い木蓮の花の下で
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