『柔らかな頬』は桐野夏生の直木賞受賞作。ブックオフの100円棚に並んでいたので、ウハウハと購入したのだけれど「これって、そんなに面白いの?」と言うのが正直な感想。
これと言って感じるところが無かった。
ミステリーとしても、ミステリー抜きの読み物としてもイマイチ度が高くて好きになれない。
柔らかな頬
互いの家族を連れ、愛人と旅行中、娘が失踪。
罪の意識に苛まれる母親を誰も救えない――。ラストが議論を呼んだ直木賞受賞の問題作
アマゾンより引用
感想
ミステリー作品に「純文学の香り」を導入したという点で評価されたんだろうことは理解出来る。京極夏彦がミステリー作品に「ヲタクとウンチクの香り」を導入して評価されたのと同じように。
だからって、それが面白いかと問われれば「さぁねぇ」としか答えようがないのだ。「1度で2度オイシイ」って言うよりも「どっちつかずで印象が薄い」って感じなのだ。
この作品においては、謎解きの楽しさもなければ、人間のドロドロとした葛藤も無かった。
これの、どこを味わえと言うのだろうか? 激しく疑問が残る。
あとネタバレで恐縮だが被害者の子供の視点でラストを占めるのは、どうなのだろう?
物語に「切りっぱなし」な印象を与えるのには効果的だと思ったが、嘘臭さが満開という感じが否めない。
死んだ人の気持ちが分かってたまるか……と思わず呟いてしまった。
心から楽しむことも、納得することも出来ず、中途半端な読後感を持った1冊だった。