ひとことで感想を語るなら「そこそこ出来たB級ホラー」ってところだろうか。
童話にホラーを絡めるのも、眼球に持ち主の記憶が宿っているのも、手垢にまみれたネタで、目新しいところが1つもなかった。
私が「乙一」という人のパターンに慣れてきたということもあるかもしれないが「ちょっと切ない」感じも、展開もオチも読めすぎて、ウンザリだった。
暗黒童話
突然の事故で記憶と左眼を失ってしまった女子高生の「私」。
臓器移植手術で死者の眼球の提供を受けたのだが、やがてその左眼は様々な映像を脳裏に再生し始める。それは、眼が見てきた風景の「記憶」だった…。
私は、その眼球の記憶に導かれて、提供者が生前に住んでいた町をめざして旅に出る。悪夢のような事件が待ちかまえていることも知らずに…。
アマゾンより引用
感想
ちょっとグロイ描写があったりするのだが、圧倒的なグロさはなかった。うーむ。中途半端に一般受けする作品を狙ったのがマズかったんだろうか。
それとも乙一のレベルは所詮ジュニアどまりだということなのだろうか。全体的に稚拙な印象を受けた。
少女を「追跡者」にしたのも失敗だったのかも知れない。だって嘘っぽさ全開なのだもの。
あれは若い男子の望む偽者の少女だと思う。男性が読めば、それなりに良いのかも知れないけれど。
はじめて読んだ『石の目』が、けっこう良かったので、3冊続けて読んでみたものの、乙一とは相性が悪いのか、ことごとくツボを外されている。
「お上手ですね」と言えるだけのレベルだとは思うのだけど、どうも偽物臭さが鼻につくのだ。
小手先だけで書かれた小説と言うべきか。とっつき安さは魅力だし、読みやすさにおいては素晴らしいと思うが、それ以上でもそれ以下でも無いような。
とりあえず「乙一のホラーはつまらない」という印象だけが残ってしまった1冊だった。