藤野可織は初挑戦の作家さん。
1冊くらい読んでいたような気になっていたのだけれど、意外にも1冊も読んでいなかった。8つの短編からなる短編集。好き嫌いがキッパリ分かれるタイプの作風だと思う。
『世にも奇妙な物語』的な…と言うか、どの物語にも不思議要素が盛り込まれて小川洋子のノリと似ている気がする。
ドレス
愛しかったはずの誰かや、確かな記憶を失い、見知らぬ場所にやって来た、彼女たちの物語。
「さよなら? 私とあなたはひとつになるのに?」
ドローンに魅惑された私、メラニンに憑かれた女、まとわりつく見知らぬ犬、何かで覆われていく彼女……
最愛の人や確かな記憶を失い、違う場所にきてしまった人々。全8編収録の短編集。
アマゾンより引用
感想
小川洋子とは真逆の作風で気持ち悪い系と言うか、不愉快系と言うか。
「美味いこと書くなぁ」とは思ったものの、読後感も良くないし読んでいてちっとも楽しくない。
小川洋子の物語はファンタジックでどこからしフワフワした浮遊感のようなものがあるのだけれど、藤野可織の作る物語は生っぽくてやたら現実味を帯びている。
「他にない作風」と言う意味では素晴らしいと思う。
正直言って私はちょっと苦手な感じだった。
「なるほどなぁ」とは思うのだけど、読んでいて不愉快な感じがどうにも苦手だ。「ドローンの保養所で働いている女性の話」とか「生肉色をしてパーカーを着ている人の話」とか、切り口は斬新で面白いのだけど、生理的に気持ち悪くて無理だった。
人を不安にさせるような不思議な文章だと思う。
不条理系の話でも吉村萬壱の書く世界は好きなのに、どうしてこの作風は嫌だと思ってしまうのか、自分でもよく分からない。
私は苦手だけどハマる人はハマる作風だと思う。
読後、軽く不愉快になる感じの不条理物が読みたい人には是非オススメしたい。
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