久しぶりの伊吹有喜作品。以前に読んだ『彼方の友へ』とか『犬がいた季節』が気に入ったこともあって、私の中で伊吹有喜は「推し作家」とまではいかなくても「追いかけたい作家」だと思っていたのだけど、どうにも今回読んだ『鎌倉茶藝館』は私の好みに合わなかった。
『鎌倉茶藝館』のような作品は需要があるのだろうな~ってことは理解できるし、Amazonの評価も良さげな感じ。だけど私はどうにもこうにも苦笑いするしかなかった。
今回はdisり気味の感想なので伊吹有喜の好きな人はごめんなさいとしか言えない。そして軽くネタバレ込みなのでネタバレNGの人はご遠慮ください。
鎌倉茶藝館
- 夫と死別し勤務先も倒産した48歳の美紀は、喪失感を抱えながら、最後の旅のつもりで鎌倉を訪れる。
- 鎌倉の山中で道に迷った美紀は、台湾茶カフェ「鎌倉茶藝館」の老マダムに助けられ、そのまま店で働き始める。
- お茶や着物、古都鎌倉の日常と文化、人々に触れながら過ごすうち、美紀は元気を取り戻していった。
- そして美紀に年齢も性格も異なる二人の男性が同時に好意を持ち始めるのだが……
感想
伊吹有喜は『彼方の友へ』で直木賞候補に上がっていて私は「いつか直木賞を取れる作家さんだと確信している」と書いているのだけど、前言撤回。無理だよ……こんな作品を書いているようでは無理だ。
『鎌倉茶藝館』を読み終えた私の感想はこれに尽きる。「レディース・コミックのノベライズですか?」
夫に先立たれた48歳の女性に年下の男性と同世代の男性が言い寄ってくる……とか、あまりにも夢見がちな設定だった。しかも年下の男性は「昔の恋人の息子」って、あり得ないにもほどがある。レディース・コミックでなければ、乙女ゲームか。昨今流行りのショートドラマのような話だった。
魅力的な男性2人から言い寄られる設定だけでなく、悪役設定の人間があまりにも悪役過ぎるのが失笑ものだった。人間の描写が薄っぺらいにもほどがある。人の心ってそこまで単純じゃない。
しかし……分からなくもないのだ。レディース・コミックとか、ハーレクイン・ロマンスとかショートドラマが好きな人なら楽しめると思う。だって、めちゃくちゃ分かりやすいし、ヒロインに都合の良い展開で物語が進んでいくのだから。
鎌倉の風景とかお茶の話などは楽しめたものの、いかんせん物語の本筋が残念過ぎた。読んだ後に本を壁にぶつけたくなるような本……壁本とまでは言わないけれど、読後に苦笑いするしかない1冊だった。


