彬子女王の『赤と青のガウン オックスフォード留学記』が面白かったので、別の作品も読んでみた。今回は『きょうの猫村さん』でお馴染みのほしよりこの挿絵付きエッセイ。挿絵の効果もあって気楽にスルスル読み進めることができた。
皇室のファンではない私でも楽しく読めるたので、皇室に詳しくなくても楽しめる作品だと思う。気の抜けたエッセイを読みたい人に良い気がする。
それにしてもソフトカバーで¥1,485。私は図書館で借りて読んだのだけど「このボリュームでこのお値段か…」と思うと書籍価格の高騰は本好きにとって厳しいなぁ…と思ったり
飼い犬に腹を噛まれる
- 彬子女王が京都での生活や公務、研究活動の中で起こる出来事を書き綴ったエッセイ集。
- 日々の中では「雪の女王」「飼い犬に腹を噛まれる」「それは『皿』から始まった」など、食事・動物・人とのやり取りにまつわる小さなエピソードとして綴られていく。
- 京都での暮らしでは、祭りや食文化、移動や人間関係などを題材にした出来事が皇族の視点と一生活者の視点の2つの視点で描かれる。
感想
『赤と青のガウン オックスフォード留学記』の続編……と位置付けるのもどうかと思うのだけど、時系列的にはそんな感じ。彬子女王の京都での生活が描かれていた。
今回の作品で特にスポットが当たっていたのは「お米」の話。彬子女王のお米愛が滴るような1冊で、お米の美味しさ、ご飯はもともと茶碗ではなく飯碗で食べていた……と言う話、はたまた稲作農業体験など「ご飯」が好きな人が読むと、よりご飯が美味しく食べられるかも知れない。
ただ彬子女王の「お米への思い入れ」については全面的に良いとは思えなかった。皇室的な視点と言うのかな。日本の神道精神に則ったお米観、稲作観が前に出ていて「新嘗祭が終わるまで新米は口にしない」などは宗教的過ぎてついていけない気がした。彬子女王は皇族なのでそれで良いのだけど「理想と浪漫で米が作れるわけじゃないでしょ?」みたいな気持ちにもなってしまった。米価格の高騰が叫ばれるご時世に浮世離れしているな……と。
ただし「浮世離れしている」というのも、致し方ない話ではある。だって本物のお姫様なのだもの。浮世離れしていて、のほほんとされているところが可愛らしくもある。お姫様ってのはそういうものだ。
犬アレルギーで犬を飼えない彬子女王が友達に犬を飼ってもらって、たまに会いに行く。友達は乳母を名乗っている……というエピソードなども一般的な愛犬家感覚で言うと「はぁ? それは友達の犬でしょ? 友達の犬を触らせてもらっているだけでしょ?」って話だけど彬子女王は「犬は私が主人だと理解している」と本気で思っていらっしゃる。申し訳ないけど……流石にそれはないわ。犬は毎日、ご飯を与えてくれて散歩に連れて行ってくれる人を主人だと思っているよ。
庶民目線で読むとツッコミどころの多いエッセイではあるものの「だけど彬子女王は本物のお姫様だからね!」と思えるので嫌な感じはしなかった。休日の午後などに気楽に流し読みするのにもってこいの1冊だと思う。



